和食とアフリカ料理は低脂肪で食物繊維が豊富
日本人にも同じことが当てはまる。大腸がんには結腸がんと直腸がんの2種類があり、ハワイの日系移民は日本人より結腸がんの罹患率が高く、欧米白人と同程度であることが以前から知られていた。最近では結腸がん、直腸がんとも、日本人の罹患率は米国の日系移民および欧米白人とほぼ同じで、食生活の欧米化がその要因のひとつと言われている。
和食とアフリカ料理とは、見た目も味も似ても似つかないが、低脂肪で食物繊維が豊富だという共通点がある。アフリカ人の主食は雑穀やイモ類で、とくにイモ類はヤムイモやキャッサバ、タロイモなど品種によって味が違い、調理のバリエーションも多いのが特徴だ。豆類や野菜、フルーツをよく食べ、塩やトウガラシ、ニンニク、ショウガを中心にしたシンプルな味付けで、油で揚げるより茹でたり煮込んだりする料理が多い。
ハワイへ渡った日系移民の大腸がんリスクは、1世代でハワイの人々と同じレベルに高まったという。しかし、わずか2週間で腸内環境が改善に向かうのなら、大腸がんのリスクを減らすことは今からでも十分に可能なのではないだろうか。
[Aging Style取材TEAM/監修:山田秀和 近畿大学医学部 奈良病院皮膚科教授、近畿大学アンチエイジングセンター 副センター長]
参考論文
Fat, fibre and cancer risk in African Americans and rural Africans doi:10.1038/ncomms7342
PMID:25919227
アンチエイジング医師団
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