「余市」だけじゃない終売危機?
アサヒグループHDによると、2015年1~5月のウイスキーの売上高は、「余市」ブランドだけで前年同期と比べて2.7倍も増えた。
また、日本洋酒酒造組合の調べでは、ウイスキーの出荷量(移出数量)は2008年以降、11年を除き前年を上回る実績で推移。2014年は前年比13.7%増と大きく伸びた。
ここ数年で出荷量が伸びている要因は、火付け役のハイボール人気と、そこにNHKドラマの「マッサン」人気が加わり、さらには本場のスコットランドを凌ぐおいしさと高く評価され、海外への輸出が急増していることがある。
ブームに沸くウイスキーだが、その一方で原酒不足は深刻なようだ。
ウイスキーづくりのもとになる原酒は毎年コツコツと造られ、貯蔵される。原酒は品質を向上させるために、最低でも5~10年は寝かせておく必要があるとされる。なかでも、「余市」や「宮城峡」などの長期熟成酒は10年以上も貯蔵された原酒で造るため、商品として市場に出回るまでには長い時間が必要になる。
つまり、ウイスキーは売れたからといって、ビールなどの醸造酒のように短期間では増産できないわけだ。ウイスキーの消費量は1980年代がピークで、それ以降、市場は年々縮小していった。そのために原酒づくりも縮小傾向にあったことが、最近のブームに対応しきれない事情だ。
アサヒグループHDは、「いまは5~10年前に貯蔵していた分(原酒)がない状況です」と話す。