SIMフリースマホがすべて「格安」ではない
――日本でも近年、端末価格や通信料金が安い「格安スマホ」が人気です。一方ファーウェイの端末は、必ずしも安価ではありません。なぜですか。
呉 SIMフリースマホは、現状「ローエンド、ローコスト」、つまり低価格だが性能もそれなりというイメージがあります。日本市場の場合、スマホは高価格帯の端末ほど多く売れているという、海外市場とは全く逆の現象が起きています。それだけに日本で、SIMフリースマホがすべて「格安」との印象が固定化すると、市場拡大に影響が出かねません。ファーウェイでは決して「安物」ではない端末、主要なスペックをそろえた費用対効果の高いSIMフリー製品を提供します。中国には「高而不貴」という言葉があります。これは「スペックは高いが、価格は高くない」という意味で、当社の製品はこの言葉の体現を目指しているのです。
――ただ「SIMフリースマホは難しそう」「今のスマホで十分」と考える消費者もいるのではないでしょうか。端末の乗り換えをどう喚起していきますか。
呉 現状で日本の消費者は、スマホの使用で毎月高額な月額通信料金を支払っており、見直しを検討しているケースが出てくるでしょう。全員とはもちろんいきませんが、日本でも最大40%はSIMフリー端末のユーザーになると予測しています。
2015年5月に発表したSIMフリースマホ「honor(オナー)6 plus」は、楽天に公式オンラインショップを開設して、独占的に販売しています。中国全体では2014年、オンラインでのスマホ売上高が2000万人民元(約4兆円)に達しました。わずか2年半で、ゼロからここまでの規模に成長したのです。日本でも今後、インターネットでのスマホ購入がポピュラーになっていくでしょう。
ファーウェイは今のところ、日本の消費者の間で知名度が高いとは言えません。ただ、必ずしも「ナンバーワン」が目標ではないのです。実は、世界的に知名度が高いメーカーだから日本の消費者に支持されてスマホの売り上げに直結するとは限らないのも事実です。業界の移り変わりは激しいですが、だからこそ私たちは消費者のニーズをしっかり把握する努力を心掛けています。日本市場向け製品は、単にグローバル仕様の端末を持ち込むのではなく、日本で受け入れられるデザインなど徹底調査し、開発に生かしています。日本にしっかりと根付き、長期スパンで事業を展開するのが当社の望みです。
プロフィル
呉波(ご・は)
2003年、ファーウェイ入社。アジア、欧州、中東、ロシア、米国、アフリカで製品統括及び営業統括を経験。2011年にファーウェイ・ジャパン副社長に就任し、現在では日本のデバイスビジネスを統括する。