個人消費に関わる経済指標、明と暗が錯綜 いったいどれを信じるべきか、判断に迷う

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秋以降がどうなるか

   政府は、賃金アップなどで消費が回復し、企業の生産が増え、雇用や賃金がさらに増えるという「経済の好循環」を期待している。実際、今春闘の賃上げが実際の給料に反映されるのは6月ごろからとされ、夏のボーナスも昨年を上回る見通しなのに加え、原油価格下落の影響で消費者物価も当面は低水準で推移すると見られ、夏場にかけて所得環境は好転が見込める状況だ。

   ただ、高齢化が進む中で、賃上げに比べて年金支給額は抑制されるため、高齢者の消費動向は慎重となりがちで、消費は構造的に伸びにくくなっているとの指摘もある。

   さらに、ここにきて1ドル=125円台を付けた円安の消費への影響も、景気の先行きを読みにくくしている。円安は輸出企業を中心に収益拡大要因になるから、今後の一段の賃上げにつながる期待があり、円安に伴う株価上昇が続けば、資産効果で株式保有者の消費を押し上げる期待もある。

   一方、円安によって輸入に頼るエネルギーや食料品などの価格が上昇しているものもあり、家計が節約に向かう可能性もある。実際、消費者心理を示す消費者態度指数(内閣府調べ)は4月、5か月ぶりに前月より悪化した。食品など身近なモノの値上げが影響したとみられている。

   異次元緩和で空前の円安を演出してきた日銀の黒田東彦総裁も、ここにきて「さらに円安に振れていくことはありそうにない」(6月10日の衆院財政金融委員会)と語って短時間で2円近く円高になる「ミニ黒田ショック」を引きおこしたが、市場では、「日銀がこれ以上の円安のマイナス面を意識している」(証券関係者)との見方が出ている。

   原油安や所得環境の好転といったプラス材料と、円安に伴う値上げというマイナス材料が交錯する中、「プラス面が優勢な夏までが個人消費を回復軌道に乗せるチャンス」(経済官庁関係者)との声が出る。しかし、そうならなかった場合、秋以降は円安に加え、原油価格の回復などマイナス面が目立ってくるとの見方が強い。アベノミクスは正念場にさしかかっているようだ。

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