米ジャズ・サックス奏者で作曲家のオーネット・コールマンさんが2015年6月11日、ニューヨークのマンハッタンで死去した。85歳だった。
59年に実験作「ジャズ来るべきもの」を発表し、コード進行や曲構成など、既成の音楽理論に縛られない即興中心の「フリー・ジャズ」を提唱。当時の主流だった、コード進行とメロディを重視する「ビバップ・スタイル」の行き詰まりを打開しようと、ジョン・コルトレーンらとともに1960年代のジャズ・シーンを牽引した。中でも、美しいメロディと意図的な不協和音が、不安定に揺らぐリズムの上で絶妙に交じり合う「ロンリー・ウーマン」は、彼の代表曲の1つとして知られる。
後年も、民族音楽やロック音楽を導入したエレクトリック・ジャズへの傾倒を見せたり、独自の音楽理論である「ハーモロディクス」を提唱するなど、生涯を通じて自らのスタンスを貫き続けた。その姿勢は否定されることもあったが、現在でもパット・メセニーやグレッグ・コーエンなど、彼の音楽へ賛同を示すジャズ・ミュージシャンは数多い。
01年に高松宮殿下記念世界文化賞を受賞。07年にはピューリッツァー賞、グラミー功労賞を受賞している。