まるか食品(群馬県伊勢崎市)は2015年6月10日、関東地区で8日から販売を再開させた主力商品「ペヤングソースやきそば」に関し、他地域での販売再開を延期すると発表した。その理由は、予想をはるかに上回る注文があったため。要は、「売れすぎてごめんなさい」状態というわけだ。
一方、商品の売れ具合をめぐる報道は分かれ、「売れすぎ!」という記事も、「意外に売れず」という記事も出された。一体、真相はどちらなのか。記者が都内のスーパーを訪れて確かめた。
東スポ「意外に売れていない」?
まさに、ペヤングに沸いた週初めだった。6月8日に販売再開されると、ネット上の各種SNSや掲示板などではその話題で持ちきりになると同時に、報道合戦も起こった。
ファンの喜ぶ声、ファンを自認する芸能人たちの発言、以前のパッケージから変わった点、さまざまな角度からペヤングの今を伝える記事が出された。実食ルポ系の記事もあちらこちらで目に付き、さながら「ペヤング祭り」とも言うべき状況だった。
ただ、肝心の売れ具合については報道が分かれた。各メディアがペヤングの売れ具合に触れ始めたのは販売再開から3日後の10日辺りから。冒頭に記したまるか食品の発表とも重なり、「売れすぎ」といったニュアンスの記事が多くを占める。
そんな中、10日付け東京スポーツ電子版が、意外に売れていない、と報じた。記事によると、10日夕方、都内のスーパーやコンビニではペヤングが山積みされており、「飛ぶように売れているとは言いがたい」様子だったのだという。東京都中野区にあるスーパーマーケット店員の、「発売中止になった時は買い占めが起きたほどでしたが、今日はまだ5個も売れていないんじゃないか。これだけ話題になっている割にはほかのメーカーの商品と(売り上げは)変わりません」という声を伝えている。
東スポの記事を見たツイッターユーザーは、「どっちやねん」「どっちが正しいんだろww」と困惑しきりだった。確かに、真偽は不明ながらも「売れていない」というツイートが散見される。
「他のカップ焼きそばに比べて明らかに売れています」
実際、売れているのか、それとも売れていないのか。記者が東京都千代田区のスーパーマーケット10店舗、コンビニエンスストア20店舗、ディスカウントストア1店舗を調査したところ、多くの店舗で「在庫切れ」を起こしていた。とりわけスーパーマーケットはどこも品薄で、調査した10店舗すべて在庫無しの状態だった。ある店舗は「販売再開した月曜日、すぐに12ケース仕入れましたが、2日で売り切れてしまいました」、またある店舗は「月曜日に入荷した8ケースは当日すぐ売り切れてしまいました」と話す。
カップ焼きそばの棚へ足を運ぶと、他ブランドは隅から隅まで並べられているにもかかわらずペヤングのコーナーはすっからかん。そんな店舗が至る所に見られた。
あるコンビニエンスストアの店員に話を聞いてみると、「他のカップ焼きそばに比べて明らかに売れています。当店でも品薄で、今棚にある分が売れてしまうとしばらく入荷しません」とのことだった。ペヤングが入っていた段ボール箱を積み重ね、レジ前に特設コーナーを作っていた、あるコンビニエンスストアの店員は「ペヤング売れてますよ~。下の箱も全部カラになっちゃいました」と嬉しそうに答えた。「売れすぎ!」というのは間違いない。
ただ、中には在庫が充実している店舗もあり、すべてが品薄状態とは言えないのも確かなようだ。