トレーニングジム「RIZAP(ライザップ)」の親会社「健康コーポレーション」は2015年6月11日、週刊新潮(2015年6月18日号)の記事に対して「当社の印象を不当に貶(おとし)め、当社の信用を著しく傷つけている」と反論する文書を発表した。
発表文は公式サイトに掲載。記事内容に対して逐一反論し、発行元の新潮社には記事の撤回と謝罪を求め、「法的措置を講ずることも検討」しているという。
新潮「力石徹」生み出すとトレーニング法を疑問視
RIZAPは12年2月に1号店の神宮前店をオープン。元プロボクサーの赤井英和さんやSMAP香取慎吾さんを起用したCMなどで注目を集め、海外を含め50店舗以上を展開している。入会金5万円、基本コース29万8000円と高額だが、完全個室のマンツーマン制を売りにしている。
親会社が問題視したのは「2か月で37万円『ライザップ』の客とスタッフが危ない!」と題した記事。現役店舗責任者や元スタッフ、客らの証言をもとに、従業員の過酷な勤務状況や返金トラブルなどを伝える内容だ。
記事は13年3月期の約178億円、14年3月期の約239億円の売上高のうち、広告費が20%近くに上る一方、人件費は7~10%に抑えられている、と指摘。従業員の労働環境は過酷で、トレーナーが開店前の朝6時から閉店する23時まで「17時間ぶっ通しで働くこともザラにある」などと書いた。
また客の男性がトレーナーの質が低すぎると退会を求めた際に返金トラブルが起きたことや、指導法が「短期間で追い込みすぎ」だとして「『あしたのジョー』の力石徹を生みだしているようなもの」と指摘する医師の証言などを取り上げた。
トレーナーについては、8~9割がパートタイマーで、未経験者でも短い研修しかしておらず、危険だとした。トレーニング中に客が脳卒中を起こした例もあったという。
記事の中では、こうした指摘に対する瀬戸社長の反論も掲載されている。人件費は「(ライザップ社単体で見れば)一般的なジムやパーソナルトレーナーと変わらない」として売上の22%だとしたり、サービス残業の改善について「うまくいっていると思います」と答えたりしている。客が脳卒中を起こした事故については、係争中を理由に明言を避けた。