鉄鋼や化学など素材はすでに逆転、ウォン高になるほど日本優位
韓国製品と日本製品の価格について、新興国経済に詳しい、ニッセイ基礎研究所経済研究部の斉藤誠研究員は「鉄鋼や化学、繊維といった中間財(素材)はすでに逆転しているようですよ」と指摘する。「たとえば高機能素材にみられるような、もともと品質のよい、日本の競争力が高い分野では為替変動に関係なく日本製が優位にあります。鉄鋼や繊維などがそれで、ウォン高になるほど日本に優位に働きます」と話す。
朝鮮日報日本版(2015年6月7日付)でも、ある繊維業界の関係者が「日本製が韓国製よりも安いという状況は想像もできなかったこと」と証言している。
半面、韓国製でも「半導体や電機はウォン高でも、まだまだ韓国の価格競争力が高い分野です」と、斉藤氏はいう。
じつはウォン安を背景に急成長した自動車産業も、日本向けの輸出ではまだ優位にあるようだ。自動車部品工業会調べでは、日本製の自動車部品の韓国向け輸出は2014年に955億円だったのに対して、韓国製の輸入は2倍超の2169億円にのぼった。
ニッセイ基礎研究所の斉藤氏は「自動車部品はここ2、3年で日本製とほぼ対等のコストパフォーマンスにあります」と話す。円高時代に、日本のメーカーなどが工場や技術を移して逆輸入した「なごり」もある。
もっとも、日本政策投資銀行によると、「自動車部品については、2014年半ばから、韓国からの輸入が減り、日本製の輸出が増えつつあります」という。自動車部品における、韓国製から日本製への切り替えはむしろ、これからが本番なのかもしれない。