「遺族の気持ちを考えたのか」批判相次ぐ
男性の手記出版について、亡くなった男児の父親(59)は、マスコミへのコメントで、メディアに手記などを出すなと言ったのに無視されたと怒りを露わにし、出版の中止と回収を求めた。男性については、「文字だけの謝罪であり、遺族に対して悪いことをしたという気持ちがない」と非難している。
ネット上でも、手記については論議になっている。
「出版することは意義がある」「いつか本人が語るべきだとは考えていた」と理解する声はあるものの、男性への批判も多い。「芸能人の本みたいな自己陶酔が感じられる」「今も被害者は苦しんでるのに」「本当に更生できてるのか疑問」といった声が上がった。初版が10万部にもなる手記については、印税が被害者側に支払われることになっているのかといった疑問も相次いでいる。
太田出版の編集担当者は、取材に対し、発売についての問い合わせのほか、出版への抗議も来ていることを明らかにした。「どうして今、加害者の本を出すのか」「遺族の気持ちを考えたのか」といったものだという。
被害者側から出版中止と回収を求められたことについては、本人の手紙を添えて手記を遺族に届けることで理解を求めたい考えを示した。事前連絡をしなかったことについては、「遺族の意向にかかわらず、本人に出したい気持ちがあり、弊社でも出版の社会的意義があると考えて、本人との話し合いで決めました」と言う。
印税については、「通常の著者と一緒で、本人に支払います。その意向は聞いていませんが、経済的に遺族に償う責任を感じておられますので、本人が考えるはずだと思います」と説明した。
男性の手記については、出版社間で争奪戦になっていると一部で報じられたが、太田出版からは依頼していないという。男性は2年前から手記を書き始め、紹介者を介して3月上旬に出版したいと言ってきたとしている。