小田急電鉄は「こまめに水分補給するよう指導」
JR東海は、熱中症対策として運転士に休憩中や待機中の水分補給を呼びかけていた。ただ、乗務中に水分を補給するには、東海総合指令所の了解が必要だったり、乗務後に飲んだ時間や場所、乗客からの苦情の有無などを業務報告書に記載して提出することを義務づけたりしていて、運転士にとってはそれらが面倒でこまめな水分補給ができなかったようだ。
そうした事情もあって、JR東海は規定にある報告義務を見直し、2015年6月1日から報告を不要にした。「乗務員の体調管理を考え、より水分補給しやすい運用に改めた」と説明している。
では、JR東海以外はどのように対応しているのだろうか――。JR東日本では、「水分補給についてはお客様が不快にならないように配慮すれば、自由に摂ってかまいませんし、報告の必要もありません」という。
私鉄では、京王電鉄が「当社ではそもそも(水分補給についての)規定がありませんから、報告の必要もありませんし、運転中にハンドルから手を離すと運転できないようになっているので、(運転中に)飲むこともできせん。個人の判断になりますが、健康管理、体調維持の点では多くの運転士が折り返し地点などで水分補給するように心がけています」と話す。
また、小田急電鉄も規定は設けていない。むしろ、「適宜こまめに水分補給してくださいと指導しています。5月から10月は熱中症のリスクが高まりますから、カバンに飲料水を入れて乗り込むことも認めています。もちろん運転中はダメですし、お客様に不快感を与えないようにすることが前提です」としている。
一方、路線バスの運転士の水分補給について、東京バス協会は、事業者ごとに規定が異なるので一概にいえないとしたうえで、バス会社は「終点や折り返し点などで、お客様の目の届かないところでの軽食や水分補給はやむなしと考えているようです」と話している。