国際サッカー連盟(FIFA)のブラッター会長(79)の辞任表明を受け、焦点は次期会長選に移った。ブラッター会長は副会長、ヨルダンのアリ王子(39)を破って5選を果たしたばかりで、改めて行われる会長選でもアリ王子は引き続き有力な対抗馬になるとみられるが、それ以外に出馬が取りざたされているのが、FIFAの副会長を17年間にわたって務めた鄭夢準(チョン・モンジュン)氏(63)。02年の日韓W杯の招致に大きな役割を果たしたとされる重鎮だ。
現時点では出馬については明言していないが、メディアへの露出を活発化させており、出馬への布石だと見る向きも多い。
FIFA上層部の「総入れ替え」主張
鄭氏は韓国の旧財閥のひとつ「現代(ヒュンダイ)」の創業者の6男で、かつては現代重工業の社長を務めたことでも知られる。聯合ニュースによると、鄭氏は6月3日に開いた会見で、出馬について「慎重に考えて判断する」と述べている。だが、すでにロビー活動は活発化しているように見える。
6月5日にはCNNテレビにソウルから中継で出演し、ブラッター氏の辞意表明は「避けられず、遅くに失した」と述べ、
「非常に高い確率で、これらの恥ずべき事案すべてに関与していたのではないか」
などと批判した。ブラッター氏のみならず上層部の「総入れ替え」も主張した。
「ブラッター氏が提案してきたことに賛成してきた人や、ブラッター氏の支持を受けてFIFAに参加した人はFIFAを去るべきだ。FIFAでは大局的なリーダーシップの変革が必要だ」
自らの出馬の意向については
「FIFA改革は大がかりな仕事で、集団で努力する必要がある。サッカー指導者と話し合って決めたい」
と述べ、6月3日の「慎重に考えて判断する」よりも1歩踏み込んだように見える。
出馬取りざたされる人物とは「FIFAの状況と改革案を議論」
翌6月6日から欧州に滞在中で、公式ツイッターでプラティニ欧州サッカー連盟(UEFA)会長(59)と会談したことを写真付きで明かし、「FIFAの状況と改革案を議論」したと説明している。プラティニ氏はFIFAの副会長も務めており、やはり次期会長選への出馬が取りざたされている。この会談が「根回し」の一環だという憶測も出そうだ。
会長選挙は実施の4か月前には加盟国・地域に通知する必要があるため、選挙の実施は早くても15年12月以降になる見通しだ。鄭氏は遅くとも年内には出馬の有無を判断することになるとみられる。