AKB48グループの新曲参加メンバーをファンの投票で決める恒例の「選抜総選挙」の開票イベントが2015年6月6日にヤフオクドーム(福岡市中央区)で開かれ、福岡市を拠点にするHKT48の指原莉乃さん(22)が2年ぶり2回目の栄冠を手にした。
投票総数は14年より2割以上増え、ファンの根強い投票意欲が裏付けられた。一方で、地域別にみると得票の伸び率には大きな差があり、「地方分権」の加速ぶりを印象づける結果になった。
グループ別では「ホーム」HKTの伸び率が高かった
15年の総選挙は、松井玲奈さん(23=14年5位入賞)をはじめとする前年の上位入賞者の出馬辞退が相次ぎ、「地盤沈下」を指摘する向きもあった。だが、これは杞憂だったとみられ、投票総数は328万7736票にのぼり、そのうち表彰対象になる上位80人には273万5423票が投じられた。いずれも前年比24.2%増、20.2%増の大きな伸びを見せていた。ただ、この80人が所属するグループ別に見ると、AKB48以外の「支店」と呼ばれる姉妹グループの方に追い風が吹いていることが分かる。AKB48所属のメンバーに投じられたのは99万7062票で、得票数としてはグループ内で一番多いが、伸び率にすると前年比1.6%増にとどまった。AKBでは、小嶋陽菜さん(27=14年8位入賞)、川栄李奈さん(20=同16位入賞)といった有力メンバーが15年は出馬しなかった。15年12月をメドに「卒業」することを表明している高橋みなみさん(24)は順位を14年の9位から4位に大幅に上げたものの、それ以外のAKBメンバーが、小嶋さんと川栄さんが持っていた票の受け皿にならなかった可能性もある。
これに対して、名古屋・SKE48、大阪・NMB48、福岡・HKT48に投じられた票数はそれぞれ68万2468票、36万1809票、55万7023票。伸び率はそれぞれ24.5%増、32.8%増、42.9%増で、「ホームゲーム」のHKT48が最も高い伸び率を記録。開票会場では、HKT48メンバーの名前が呼ばれると、ひときわ大きな声が上がっていた。
上位16人の「選抜メンバー」には、HKT48からは指原さんと宮脇咲良(さくら)さん(17)がランクイン。ランクインした人数こそ2人と前年と変わらないが、順位も票数も大幅に伸びた。指原さんが2位から1位に返り咲いたのは前出のとおりだが、票数も前年比36.7%増の19万4049票と大幅に伸びた。宮脇さんは前年比82.8%増の8万1422票を獲得。14年には11位だった順位は15年には7位に上がり、念願の上位7人「神セブン」入りを果たした。
「神セブン」入り宮脇咲良「私はAKBを壊したい」
宮脇さんは
「これからは先輩たちが切り開いてくれた道ではなくて、自分たち自身で切り開いた道を歩みたい。来年はあの1位の席に座って、誰も見たことのない新しいAKBをつくりたい。駆け出しの私がこんなことを言うのは生意気で本当に失礼と思うが、私はAKBを壊したい」
と話し、グループの「スクラップ・アンド・ビルド」を意気込んだ。
入賞した人数ベースで見ても、14年に22人だったSKEは26人、12人だったNMBは14人、13人だったHKTは15人と着実に増加している。この煽りを受けたのがAKBで、14年には31人だった入賞者は23人に減少。初めてSKEを下回った。
この3姉妹グループの他にも、「地方」の存在感を印象づけたのが新潟・NGT48の北原里英さん(23)。北原さんはAKB48メンバーとして臨んだ12年の総選挙で13位にランクインしたのを最後に上位16位の「選抜」からは遠ざかっていたが、新グループ立ち上げ要員としてNGTに移籍が決まりファンが奮起。15年は11位にランクインし、3年ぶりの選抜復帰を果たした。北原さんは「胸を張って新潟に行けそうです」と満面の笑みを浮かべていた。
開票イベントは今回が7回目で、首都圏以外で開かれるのは初めて。博多駅内の百貨店では過去の総選挙の写真展やメンバー直筆の立候補ポスター展が開かれ、多くの買い物客が足を止めていた。博多駅や福岡空港では「推しメン」の名前入りの衣装をつけた人も散見された。