豚の生レバーや生肉を飲食店などで提供することが2015年6月12日から禁止される。E型肝炎ウイルスに感染するリスクが高いからだ。厚生労働省の審議会が5月下旬に決めた。
これを受け、厚労省が食品衛生法に基づく規格基準を改正し、さらに禁止前に客が生レバーを求める「駆け込み需要」を警戒して生で食べないよう引き続き注意を呼びかけていくという。
肉の中心部を63度で30分以上加熱する
厚労省によると、豚の生レバーや生肉はE型肝炎ウイルスや寄生虫に汚染されていることがあり、食中毒リスクが高いとされる。肉の表面だけでなく内部まで汚染されており、世間でよく語られる「新鮮だから安全」は豚には通用しないというわけだ。
そのため新たな基準では肉の中心部を63度で30分以上加熱するか、同等以上の加熱殺菌が義務づけられることになった。精肉店も生食用に販売できなくなる。違反すると2年以下の懲役か200万円以下の罰金が科されることになった。
肉の生食をめぐっては、2011年に富山県や福井県などの焼き肉チェーン店で牛の生食による食中毒事件が発生して5人が死亡した。それを受け、厚労省は2012年7月に飲食店などが牛の生レバーを提供することを禁じた経緯がある。
この規制後、牛の代わりに豚の生レバーなどを提供する飲食店が急増。2013年夏の一斉取り締まりで生レバーを提供していたのは190店に上り、前年の80店から倍増していたことが判明した。特に関東地方の飲食店での提供が多かったという。