処分規定がなく、学位は取り消されない
この点について、お茶女大の広報担当課では、次のように説明する。
「教授は、宗教については専門外でしたが、1つだけ読んだことがあると言っていました。事情聴取に対し、『卒論が似ていると記憶にあった気がする』と答えましたが、『お茶の水の学生が盗用をするはずがない』との思い込みがあったということです」
卒論を書いた本人には、故意にやったことなのか、それとも参考文献に挙げるなどを忘れていただけなのかを聞こうと連絡を取った。しかし、忙しくて行かれないため、代理人の弁護士を行かせるとしたが、大学では、本人でないとダメだとしてそれを拒否した。
学則には、学士の学位返還規定はないため、学位を取り消すことはできなかった。しかし、今後については、学位取り消しを含めて学則の見直しなどを学内で検討していると説明している。
幸福の科学グループの広報局では、取材に対し、次のようにコメントした。
「お茶の水女子大学からは何の指摘もありませんし、大学の卒論指導・審査に関することは、コメントする立場にありません。なお、『神国日本の精神』については、近代日本の宗教的限界に鋭く迫った独創性に富んだ内容であり、出版にあたり引用・注を付けておりますので、問題はありません」
ただ、初版本に収録された卒論には、4人の論文や著作が参考文献にはなかった。14年8月に出された第2刷には、修正したことは触れていなかったが、どこからか指摘があったのか、うち3人の分が参考文献に挙げられていた。さらに、15年6月2日の第3刷には、4人分すべてが参考文献に挙げられていた。
この点については、「書籍増刷時の修正箇所等についてはお答えしておりません」としている。