米国カルフォルニア州で、ポルノ俳優は性行為を撮影する際に、顔にゴーグルを着用しなければならない、という新規制案が発表されたという。
同州労働安全衛生基準委員会(OSHA)がまとめた性感染症に関する報告書によると、体液や粘膜からの感染を防ぐためにはゴーグルが必要だ、となっている。制作会社やポルノ俳優たちは州に対し「馬鹿げている」「業界が潰れる」などと反発しているという。
ポルノ俳優を性感染症と血液媒介病原体から守る
「ワシントンポスト」の2015年5月29日付け電子版などによると、ポルノ俳優の顔にゴーグルを着用させるという案が出たのは15年5月下旬に発表されたOSHAの報告書がきっかけで、一般市民を性感染症から守るためにはどうすればいいか、という内容をポルノ俳優にも適用させることにした。州は、
「ポルノ俳優を性感染症と血液媒介病原体から守る」
と発表し、その規制の中にコンドームとゴーグルの着用があったのだ。
こうした規制に大きく関わっているのは、エイズ医療財団のマイケル・ワインスタイン氏。同氏は09年に男優にコンドームを付けさせることをOSHAに提案し、12年にはコンドーム着用法案の設立に尽力した。
法案は一部の地区を除き破棄されたものの、今回は新たにコンドームに加えゴーグルを着用させるようにと動いた。なぜゴーグルなのかというと、目からの感染を防ぐためだ。もっとも、今回出された規則には、
「すべての体液は感染の可能性材料と見なされなければなりません」
とあることから、体液が出る部分や粘膜を全て「覆う」ことが基本のようで、ゴーグルはその象徴として提示されたともいえる。
この州の発表に制作会社やポルノ俳優は大反発している。ワインスタイン氏のグループは、ポルノの撮影によって感染者が数千人出ていて、HIV感染者は少なくとも4人いると報告している。制作者サイドはこれに対し、14日置きに感染症の検査を実施し、体液と接した場合の消毒などは適宜に行っているとし、
「出演者の安全は十分に確保されている」
と猛反発している。