ドッジボールは「イジメを助長する」? 教育現場から追放すべきか否かで大激論

全国の工務店を掲載し、最も多くの地域密着型工務店を紹介しています

   ドッジボールと言えば、日本ではひときわ知名度の高い球技だ。小中学校時代には、誰でも一度はプレーした経験があるはずだ。ルールや、プレー中の風景を頭に描ける人は多いだろう。

   そんなドッジボールが今、注目を浴びている。あるコラムニストが「他人にボールをぶつける野蛮なスポーツ」「イジメを助長する」とツイッターで指摘し、禁止すべきか否か、賛否両論の大激論が交わされている。

  • 「いじめ」の温床なのか…?(画像はイメージ)
    「いじめ」の温床なのか…?(画像はイメージ)
  • 「いじめ」の温床なのか…?(画像はイメージ)

「子供の時からずっとそう思ってました!!!」

   議論の発端は、教育問題についての言及も多いコラムニスト・勝部元気さんによる2015年5月30日のツイートだ。勝部さんはドッジボールについて「他人にボールをぶつける野蛮なスポーツであり、イジメにも繋がりやすい」と指摘、「義務教育で全員参加させるべきではない」と主張した。

   これが掲示板やまとめサイトなどに転載され、議論を巻き起こした。支持の声は多く、ツイートには「ドッジボール大っ嫌いだった」「子供の時からずっとそう思ってました!!!」といったコメントが続々寄せられた。

   勝部さんは1日、ツイートをまとめたブログ記事を更新。その中で、やりたくない子どもが自主的に避けられる仕組み、安全面への配慮など、改善策も提示している。主張するのは全面禁止でなく、あくまで強制参加の禁止だ。ドッジボールそのものより、学校における「同調圧力」への批判と言った方が正しいのかもしれない。

   一方、ツイッターには反対意見も確認できる。「じゃあ他のスポーツならいいのかね」「ドッジボールをいじめてるだけ」など、ドッジボールだけがいじめを助長するとは言えない、という声は多い。

安全面では「ドッジボールが危険」と言えない

   議論の舞台はネットを飛び出し、テレビにも設けられた。6月4日放送の情報番組「スッキリ!!」(日本テレビ系)では、ドッジボールを禁止すべきかどうかをめぐり出演者の間で激論が交わされた。

   批評家の宇野常寛さんはいじめ問題に絡めて、「ドッジボールやろうととやらなかろうと、いじめはある。大事なのはいじめられた時に子どもたちが逃げられる環境を作ること」「禁止すべきじゃないけど、強制参加も良くないと思う」と語るなど、一貫して子どもの意思に任せるというスタンスを取った。

   一方、司会の加藤浩次さんや作家・内科医のおおたわ史絵さんは、全員参加させて協調性を学ばせるべきというスタンスだ。

   加藤さんは「みんなでパスを回して、みんなで協力して勝つ喜びを求めるのは得意じゃない人も混ざった方が良い」と発言、おおたわさんも「やりたくないことでもやるという訓練をしていかないと、全部自由意志でいいよ、と言っちゃうと何もできなくなる」と語った。番組中に行われた視聴者アンケートでは、「禁止すべき」が3751票だったのに対し、「すべきでない」は37849票と大きく上回った。

   ちなみに、安全面に関して言えば、ドッジボールが他の競技と比べて際立って危険とは言えない。

   独立行政法人・日本スポーツ振興センター(JSC)が運営するウェブサイト「学校事故事例検索データベース」によると、災害共済の給付対象として登録されているドッジボールの事故は全部で13件。それに対し、サッカー・フットサルは287件、野球は593件、バスケットボールは194件、テニス(ソフトテニス含む)でも63件だ。


(2015年6月4日 追記 教育問題に詳しい名古屋大学大学院の内田良准教授はJ-CASTニュースの取材に対し、「いじめは、教室内でじっとしていても起きます。いじめがドッジボールに転化することは大いにありえますが、それはドッジボールそのものが悪いのではなく、いじめの解決こそが優先されるべきです」と回答した。)

姉妹サイト