意見のすり合わせは簡単ではない
ただ、この医薬分業の意義が問われる事態も起きている。今年2月、ドラッグストア大手ツルハホールディングスの子会社、くすりの福太郎(千葉県鎌ケ谷市)とイオン子会社のCFSコーポレーションの調剤薬局が、恒常的に薬剤服用歴(薬歴)を記載しないまま患者に薬を出していたことが発覚した。
薬歴は、薬剤師が医師の処方箋に沿って調剤する際に、患者ごとに聞き取って記録することが義務付けられている。服薬後の状況や副作用などを把握することで、飲みすぎや飲み合わせによる事故を防ぐ狙いで、保管した薬歴に基づき患者に適正な指導をして薬を出せば、「薬剤服用歴管理指導料」として1回につき原則410円の診療報酬も得られる。ツルハやCFSの診療報酬請求のこの部分が不適切だった可能性がある。
高齢化などに伴い医療費が膨張する中、限られた財源の中でいかに医療の質を維持し、高めるかは、国民的な課題だ。政府の規制改革会議はワーキンググループ(WG)を設けて検討を始めているが、厚労省などとの溝を埋めるのは容易ではない。昨年は、安倍晋三首相の強力なプッシュもあって、混合診療の規制緩和が進んだが、医薬分業はどうなるか。規制改革会議の答申作成に向け、意見のすり合わせは簡単ではなさそうだ。