厚労省「感染するリスクは、極めて低い」
感染者が出国したことを韓国が中国に伝えたのもこの日で、対応が遅れたために中国にもMERSウイルスが侵入してしまった。
韓国メディアによると、会社員男性が乗ったアシアナ航空機については、搭乗した客室乗務員6人を隔離措置にした。
とはいえ、客室乗務員が名古屋への乗り入れ便にも搭乗していたことはないのか。もしそうなら、乗客にも感染した疑いが出てくることになる。また、そうでないとしても、無消毒の旅客機が名古屋に乗り入れたことで感染の懸念はないのだろうか。
アシアナ航空東京支店のマーケティング部では、取材に対し、こう説明する。
「旅客機に搭乗した客室乗務員が、名古屋乗り入れ便にも乗っていた可能性はないはずです。旅客機が香港に到着してからは乗務に就いていない、と連絡があったからです」
無消毒の旅客機が名古屋に乗り入れたことで乗客が体調不良を訴えていることはないのかなどについては、「報道機関から問い合わせを受け、韓国の本社に内容を確認しているところです」とだけ答えた。
厚労省の結核感染症課では、検疫所を介してアシアナ航空側に情報請求をしているところだとしたうえで、旅客機乗り入れの影響についてはこう言う。
「MERSは、咳による飛沫を吸うなどの『濃厚接触』があったときに感染のリスクがあります。しかし、人ではなく機体から感染するリスクは、極めて低いと考えられます。今のところ、乗客が体調不良を訴えたという話は聞いていませんし、乗客の追跡調査もその必要はないと思っています」
ただ、韓国から日本へMERSウイルスが侵入する恐れはあることから、韓国旅行をした日本人に健康相談を呼びかけるなどの対策の徹底を6月1日付で各検疫所に指示したとした。また、日本旅行をする韓国人に今後どう対応するか、関係者間で現在調整しているという。