致死率の高い中東呼吸器症候群(MERS)の感染者が乗った韓国・アシアナ航空の旅客機が、消毒されないまま名古屋でも発着していたことが明らかになった。
韓国では、2015年6月3日までに、感染者30人のうち2人が死亡し、感染疑いだけで398人にも上る事態になっている。隔離措置も1300人以上が受けていた。
対応が遅れたのは、韓国国内の事情だった
そんな中で、日本にもMERSウイルスが侵入するのではないかと懸念されており、今回は、アシアナ航空機の問題が持ち上がった。
MERSに感染した韓国人の会社員男性(44)が5月26日、ソウル発香港行きのアシアナ航空723便に乗っていたが、この旅客機が翌27日に名古屋にも乗り入れていたことが分かった。
それは、ソウル発16時50分名古屋着124便と17時50分名古屋発ソウル行き123便の2便だ。
報道によると、感染者が乗ったという韓国当局からアシアナ航空への通知が遅れたため、この旅客機は、28日未明になってからソウルで消毒作業が行われた。つまり、無消毒のまま名古屋に乗り入れていたということだ。
通知が遅れたのには、韓国国内の事情があったようだ。
感染者の会社員男性は、韓国で初めての感染者(68)と同じ病室で感染した患者(76)の息子だったが、韓国は、なぜかこの男性については調査しなかった。男性は5月19日に発熱し、診察した病院は親がMERSに感染したことを知って中国への出張を自粛するよう要請した。ところが、男性は、それを聞き入れずに26日に出国してしまい、香港で検査を受けたものの検疫官には「患者と接触はない」とウソをついた。
男性を診た病院が保健所へ連絡したのも、なぜか27日になってからだった。