沖縄知事、アメリカで逆切れ? 移設問題の訴えに「冷遇」の嵐

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   米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の辺野古沖(同名護市)への移設計画反対への理解を求めて訪米中の翁長雄志知事が、厳しい現実に直面している。

   沖縄にルーツを持つ日系人のハワイ州知事には「国と国の問題」と突き放され、首都ワシントンでは県側の要望よりも格下の幹部としか面談がかなわなかった。識者からは「反対ばかりしている」という非難も出る始末で、訪米の目的達成からは程遠い状況だ。

  • 翁長知事は訪米前には「絶対に造らせないということを米国には伝えたい」と話していた
    翁長知事は訪米前には「絶対に造らせないということを米国には伝えたい」と話していた
  • 翁長知事は訪米前には「絶対に造らせないということを米国には伝えたい」と話していた

ハワイ州知事、移設問題は「日米両政府の問題」

   翁長氏は2015年5月30日から6月4日の日程で訪米。訪米はハワイ州から始まった。上下両院の3議員は比較的知事の主張に理解を示したものの、5月30日に会談したデービッド・イゲ知事の反応は違ったものだった。イゲ知事は、沖縄に駐留する米海兵隊員のうち2700人をハワイに移転する再編計画を受け入れる姿勢を示したものの、普天間移設問題については「日米両政府の問題」と距離を置いた。ハワイには沖縄県をルーツに持つ日系人が約4万人が住んでおり、イゲ知事もそのひとりだ。

   首都ワシントンでも事態は好転しそうもない。沖縄県側は、日本の局長級にあたる次官補級との会談を求めていたが、米国務省のラスキー報道部長は5月28日の会見で

「翁長知事のワシントン訪問を楽しみにしている。ヤング日本部長が国務省で翁長氏を迎え、面会する予定だ」

と述べ、要望よりも格下の日本部長が対応することを明らかにした。

   翁長氏へのメッセージを求められると、ラスキー報道部長は日米両政府が5月27日に外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)をニューヨークで開き、辺野古が「唯一の解決策」であることを確認したことを改めて指摘した。

   会談は6月3日に行われる見通しで、国防総省のアバクロンビー副次官補代行も同席する。両省は、仲井真弘多(ひろかず)前知事が12年に訪米した際は、キャンベル国務次官補(当時)、リッパート国防次官補(同)が対応している。

「反対ばかりしている」の指摘には「お互い様。非難される筋合いない」

   翁長氏は、6月1日には米戦略国際問題研究所のマイケル・グリーン氏と面談。ブッシュ政権で国家安全保障会議のアジア上級部長を務めた「知日派」。ただ、日本政府と同様の「辺野古が唯一の選択肢」というグリーン氏とは議論は平行線をたどった模様だ、記者から、グリーン氏が「知事は反対ばかりしている」と発言していたことを指摘されると、翁長氏は

「(日米両政府は)つくるということしか考えていない認識。お互い様で、それを非難される筋合いはさらさらない」

などと反論した。

   翁長氏は5月20日に都内で開いた会見で、訪米の狙いを

「絶対に造らせないということを米国には伝えたい。あなた方が決めたからできるというのは間違いですよ、と。あなた方は『日本の国内問題だから、おれたちは知らんよ』と、僕らが行くと必ず言う。ところが、辺野古がだめになったら日米同盟が崩れるということからすると、国内問題ではない」

と説明していた。この「絶対に造らせない」というメッセージがどの程度米国に伝わったか、現時点ではきわめて疑わしいようだ。

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