東京五輪の新国立競技場、迷走中 工費負担めぐり国と都が大バトル

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五輪担当相の最初の大仕事

   その後、都に負担を求める額が580億円に達すると報じられ、舛添知事は「全くいい加減。支離滅裂だ」(26日の記者会見)と厳しく批判。この知事発言に、2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相が「思っていることは半分とか3分の1くらいに抑えて言わないと」と苦言を呈した。

   下村文科相は翌27日、「(試算は)途中段階として首相官邸に報告したもの」と釈明しつつ、「もうちょっと当事者意識を持ってやってもらいたいなと思いますね。批判するのは簡単だけど、自分も五輪の開催都市の知事だという自覚で、一緒にやろうという思いを持ってもらいたいと思いますね」と異例の注文をつけ、さらに28日には知事が「(国が)言ってくることはお金出せっていうことだけだったら、それはおかしいでしょ」と再反論するなど、関係者間の不協和音は収まる気配がない。

   新競技場建設問題は、「そもそも五輪招致段階で、世論の支持率を高め、招致を実現するため、予算を低く見積もったツケが回ってきている」(全国紙運動部デスク)ともいえる。

   賛否分かれたとはいえ、当初は新競技場を特徴付けるはずだったデザイン案が覆されたほか、招致段階で「最先端の競技施設」として日本の技術力をアピールした音楽ホール並みに音響効果を高める遮音性の高い開閉式屋根、臨場感を増すためにグラウンドにせり出す電動式の可動席も、取りやめになった。2020年に間に合わないことになれば、東京五輪への国際的な信用が傷つく懸念もある。

   舛添知事は「都民が後で使えるレガシー(遺産)なら協力は惜しまない」との基本姿勢は示しており、「最後は自民党政権と知事の保守政治家間でそこそこの線でまとまる」と楽観視する関係者もいるが、五輪という一大イベントを成功させるためにも、国民の理解は不可欠で、国には計画を修正する必要性、財源や五輪後の用途、収支見通しについて明確な説明をする責任があるのは言うまでもない。

   建設工事の着工は10月。限られた時間の中、いかに国民的な合意を図っていくか。6月中にも任命される専任の五輪相の最初の大仕事になる。

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