大噴火の口永良部島は危険な火山だった 山頂火口から溶岩流出と爆発的噴火を繰り返す 

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   2015年5月29日、鹿児島県の口永良部島新岳(屋久島町)で爆発的噴火が発生し、火砕流が海岸まで到達した。気象庁は即座に噴火警戒レベルを5まで引き上げ、町は全島民に島外避難を促した。

   九州で「危険な火山」と言えば、大正時代に大規模な噴火を起こした桜島(鹿児島県)や1991年の大噴火で40人以上の死者を出した雲仙岳(長崎県)が有名だ。しかし、口永良部島も14年に大規模噴火を起こしたばかりの活火山だった。

  • 火砕流は2キロも流れた(画像は気象庁ライブカメラより)
    火砕流は2キロも流れた(画像は気象庁ライブカメラより)
  • 火砕流は2キロも流れた(画像は気象庁ライブカメラより)

14年の噴火よりは大規模

   口永良部島は屋久島の北西およそ12キロに位置する、ひょうたん形の島だ。周囲はおよそ50キロで、150人ほどが暮らしている。島への交通手段は屋久島経由の町営フェリーしかない。

   口永良部島が属する薩南諸島は九州の南方に浮かぶ島々で、弧を描くように10個ほどの火山島が連なる。口永良部島はその中でも最大の火山島だ。

   実は、2014年8月3日にも34年ぶりの噴火を起こしていた。島の真ん中に位置する新岳が突如噴火し、噴石が降り注いだ。しかし、9月27日に噴火した御嶽山(岐阜・長野県境)が死者57名を出したのに対し、当時台風の接近によって町営フェリーが欠航していたという背景もあったのか負傷者はゼロ。噴火の事実だけはマスコミ報道で広く伝えられたものの、あまり注目されなかったようだ。

   12月9日付け西日本新聞朝刊は、噴火後4か月経っても島を視察する国会議員がいなかった事実や、「見捨てられとるんよ」「犠牲者が出んと国は動かん。口永良部で噴いたことを政治家は知っとるんやろうか」という島民の怒りを伝えている。

   今回の噴火では、火砕流が火口からおよそ2キロ離れた向江浜地区の海岸に到達した。命に別状はなかったものの、やけどをした72歳男性と体調不良を訴える80歳の男性2人が病院へ搬送されている。一部の火山学者はツイッターで、14年の噴火よりも大規模だった、との見方を示している。東京大学火山噴火予知研究センターの武尾実教授もジェイ・キャストの取材に対し、「映像を見る限り、少なくとも前回の噴火より小さくはないだろう」と語った。

   そもそも、口永良部島は有史以前の火山活動も活発だった。国立研究開発法人産業技術総合研究所地質調査総合センターや気象庁のホームページによると、現在から1万年前までの火山活動をみると、山頂火口から溶岩流出と爆発的噴火を繰り返している。有史以降でも記録に残る最も古い天保年間の噴火では死者多数、昭和に入ってからも数回死傷者を出す噴火を起こしている。

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