軍事衝突「将来的起こる」が韓国では32.5% 日韓世論調査、両国関係に依然「大きな溝」

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   日本のNPO法人「言論NPO」と韓国のシンクタンク「東アジア研究院(EAI)」が2015年5月29日に発表した第3回日韓世論調査の結果によると、相変わらず日本で約半分、韓国で7割以上が相手国に「悪い印象」を持っているが、両国とも現状をよしとしない声の方が多く、8割以上が日韓首脳会談の必要性を感じている。

   ただ、両国の溝はまだ深く、韓国では日本が「軍国主義」「覇権主義」だと認識され、中国よりも日本の方が軍事的脅威だと感じる人が増えていることも明らかになった。日本の姿が「勘違い」されているとも言える調査結果だが、安倍政権が安保法制の整備や憲法改正に乗り出していることへの警戒感が反映されているようだ。

  • 日韓の溝は埋まるのか(写真はイメージ)
    日韓の溝は埋まるのか(写真はイメージ)
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首脳会談、日韓ともに8割以上が「必要」だと回答

   相手国の印象を聞く設問では、日本では52.4%(14年51.4%)、韓国では72.5%(同70.9%)が「悪い印象」と回答。その理由を複数回答で聞いたところ、日本側は「歴史問題で日本を批判し続けるから」(74.6%)、「竹島をめぐる領土対立があるから」(36.5%)、韓国側は「韓国を侵略した歴史について正しく反省していないから」(74.0%)、「独島をめぐる領土対立があるから」(69.3%)の順で多かった。いずれも歴史や領土問題に関連するものだ。

   こういった状況を「望ましくない状況」「改善する必要がある」と回答した人は日本側が67.8%、韓国側が67.2%にのぼり、朴槿恵(パク・クネ)大統領の就任以来1度も実現していない日韓首脳会談についても、実現すべき時期にばらつきはあるものの、日韓ともに8割以上が「必要」だと回答した。

韓国の政治体制「民主主義」が激減

   こう見ていくと、日韓両国で関係改善に向けた問題意識が共有されつつあるように見える。だが、現実には、互いに対する認識のズレは広がっているようだ。相手国の社会や政治体制についての設問では、日本側で最も多かったのが「民族主義」の55.7%で、14年の44.8%から大幅に増えた。次に多かったのが「国家主義」(38.6%)だった(14年は32.4%)。14年には「民主主義」を選んだ人も21.5%いたが、15年調査では14.0%に激減。産経新聞の加藤達也・前ソウル支局長が朴大統領をめぐるコラムで在宅起訴され、8か月にわたって出国停止になっていたことが影を落としたようだ。

   韓国側で日本に当てはまる表現として最も多かったのが「軍国主義」。14年の53.1%から56.9%に増えた。「覇権主義」を挙げた人も14年の26.8%から34.3%に大幅に増えた。これと連動する形で、日本に軍事的脅威を感じる人も46.3%から58.1%に増加した。これは北朝鮮(83.4%)に次いで多く、中国(36.8%)を大幅に上回る。日韓軍事衝突の可能性を聞いた設問でも、「将来的には起こると思う」という回答が日本では8.6%だったのに対して、韓国は4倍近い32.5%だった。

渡航経験の多い有識者の方が相手国への印象がいい

   この結果について、EAIのジョン・ハンウル・シニアリサーチフェローは、

「多くの韓国国民は、日本を思い浮かべた時に、戦争や植民地支配を思い浮かべ、それが大きなトラウマとして頭の片隅に残っている」
「集団的自衛権、平和憲法の改正、自衛隊の活動範囲拡大が問題になっている。一連の日本政府の政策は、韓国国民の目には軍事主義、軍国主義の復活ではないかとみられている」

などと背景を開設した。

   調査は日本では15年4月、韓国では4~5月にそれぞれ約1000人を対象に行われた。ただ、回答者は日韓ともに74%が相手国に行ったことがなく、9割以上が自国のニュースメディアから情報を得ている。これに対して、互いの国への渡航経験や知人が多い有識者に対する調査では、相手国に対する印象が大きく違っている。例えば韓国では49.7%、日本では29.0%が相手国に対して「どちらかといえば良い印象を持っている」と回答している。こういったことから、メディアを通さない直接の相互交流を拡大することが、関係改善の糸口になるという見方も示された。

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