日本株、まだまだ上がるのか 「10連騰」の先を読む

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   日本株が連日、上昇している。東京株式市場は2015年5月28日、日経平均株価の終値が前日比78円88銭高の2万551円46銭となり、これで「10連騰」となった。

   日経平均株価が10営業日連続で上昇したのは、バブル景気が真っ只中の1988年2月10~27日の13連騰以来、じつに27年3か月ぶりになる。いったい、どこまで上がるのだろうか。

  • 「11連騰」はあるのか・・・
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欧米株高、円急落で輸出関連株が堅調

   東京株式市場は朝から活況だった。ギリシャのユーロ離脱への不安が和らいだことなどを背景に、前日の欧米での株高を好感。加えて、米国の景況感の高まりから為替市場で円相場が一時1ドル124円台まで進行したことで、円安による企業の収益改善への期待が膨らみ、「買い」が相次いだ。

   円安の恩恵を受けやすい銘柄を物色する動きが活発で、自動車などの輸送用機器、電機や電子部品、機械など輸出関連株が堅調に推移。さらには原油市況の続落を受けて燃油高の懸念が後退したことから、空運や海運株などが上昇したほか、メガバンク株も急騰した。

   その半面、食料品など内需関連株は下落したものの、輸出関連株の勢いが勝った。

   こうしたことから、2015年5月28日の日経平均株価は一時、前日比182円75銭高の2万655円33銭を付け、前日に続き年初来高値を更新。その後、市場には「そろそろ限界」を思わせるムードが漂うなど短期的な過熱感が意識されたが、それも杞憂に終わった。

   日経平均株価は4月22日に、2000年4月以来約15年ぶりに終値で2万円台を回復したが、5月上旬にはヘッジファンドの決算が集中するなどの、「Sell in May」(「5月に株を売り、相場から離れろ」というウオール街の格言)が意識されたことから、一たんは1万9000円台で推移した。

   それが「10連騰」の最中の5月22日には終値で2万264円41銭を付け、東証1部の上場企業の時価総額は591兆3007億円に達してバブル期(1989年12月)の590兆9087億円を上回った。28日には、それが604兆796億円にまで達している。

   もちろん、時価総額がバブル期を上回った背景には、上場銘柄数がバブル期当時よりも約6割増えるなどの要因があるので、日本株が「バブル期並みに戻った」とは一概にはいえない。しかし、「連騰」記録もバブル期に迫っており、日本株が好調であることは確かなようだ。

買い手は「5頭のクジラ」?

   最近の株式市場には、「5頭のクジラ」がいるとされる。5頭とは、日本銀行、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、共済年金の公的マネーのこと。総資産の合計は約800兆円にものぼり、これらの5頭のクジラたちが株価を買い支え、株価の上昇要因になっているというのだ。

   なかでもGPIFは、5%の資産を入れ替えるだけで5~6兆円前後の資金が動く、国内最大のクジラで、外国人投資家とともにその動向が株価を左右するといわれる。

   そうしたなか、第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト、藤代宏一氏は「上げ幅は1000円に満たないほどで、『10連騰』のわりには意外に静かというか、驚きはないですね」と話す。

   「10連騰」がはじまる前日の5月14日の株価から28日までの上げ幅は、981円22銭(5.0%の上昇)。この間、前日比で150円超も急騰した日があれば、6円高という日もあり、株価は10日間かけて小刻みに上がってきた。

   こうした背景について、藤代氏は「買い手が増えたり、意欲的に投資したりというよりも、(株式を)持ったまま『売らなかった』投資家があったようです」と指摘する。

   直近の1週間(5月18~22日)の売買状況をみると、買い手は外国人投資家が中心であることに変わりはない。5月以降は、4月に比べて減ったものの500億円前後を安定的に買い越している。

   一方、売り手の中心は個人投資家や信託銀行(GPIFを含む)で、これも変わらない。しかし、4月第3週(4月13~17日)以降、信託銀行の「売り」の規模は小さくなった。どうやら、藤代氏のいう「売らなかった」売り手はGPIFとみられ、上げ幅が小さかったのは「売りが抑えられていた」ためとみられる。

   藤代氏は11連騰、12連騰となるかどうかは「あるかもしれませんが・・・ 何とも言えませんね」というが、連騰が止まったからといって、ガタガタと大きく崩れることもなさそうだ。

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