買い手は「5頭のクジラ」?
最近の株式市場には、「5頭のクジラ」がいるとされる。5頭とは、日本銀行、ゆうちょ銀行、かんぽ生命、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)、共済年金の公的マネーのこと。総資産の合計は約800兆円にものぼり、これらの5頭のクジラたちが株価を買い支え、株価の上昇要因になっているというのだ。
なかでもGPIFは、5%の資産を入れ替えるだけで5~6兆円前後の資金が動く、国内最大のクジラで、外国人投資家とともにその動向が株価を左右するといわれる。
そうしたなか、第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト、藤代宏一氏は「上げ幅は1000円に満たないほどで、『10連騰』のわりには意外に静かというか、驚きはないですね」と話す。
「10連騰」がはじまる前日の5月14日の株価から28日までの上げ幅は、981円22銭(5.0%の上昇)。この間、前日比で150円超も急騰した日があれば、6円高という日もあり、株価は10日間かけて小刻みに上がってきた。
こうした背景について、藤代氏は「買い手が増えたり、意欲的に投資したりというよりも、(株式を)持ったまま『売らなかった』投資家があったようです」と指摘する。
直近の1週間(5月18~22日)の売買状況をみると、買い手は外国人投資家が中心であることに変わりはない。5月以降は、4月に比べて減ったものの500億円前後を安定的に買い越している。
一方、売り手の中心は個人投資家や信託銀行(GPIFを含む)で、これも変わらない。しかし、4月第3週(4月13~17日)以降、信託銀行の「売り」の規模は小さくなった。どうやら、藤代氏のいう「売らなかった」売り手はGPIFとみられ、上げ幅が小さかったのは「売りが抑えられていた」ためとみられる。
藤代氏は11連騰、12連騰となるかどうかは「あるかもしれませんが・・・ 何とも言えませんね」というが、連騰が止まったからといって、ガタガタと大きく崩れることもなさそうだ。