消費の回復がカギ
ただ、今後の見通しは楽観論一色ではない。世界的なリスクでは、中国景気の減速など新興国に不安があるほか、株高を支えてきたカネ余りも、米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げの時期を探っており、欧州ではギリシャの債務問題がくすぶる。好業績の重要な支えだった原油安も、相場は底を打ったとの見方が強まっている。
国内に目を向けると、円安による輸入コスト増加で、日用品値上がりが続いているなど、特に個人消費に関して不安材料が多い。2015年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値では、前期比実質0.6%(年率換算2.4%)の成長を記録したが、GDPの約6割を占める個人消費は前期比0.4%増にとどまり、1~3月期の個人消費の絶対額は約308兆円と、消費増税(2014年4月)前駆け込み需要が本格化する前の2013年10~12月期の315兆円より低い水準にとどまっている。
春闘は政府の必至の介入にもかかわらず、連合の第5回賃上げ集計(5月9日発表、定期昇給を含む)の賃上げ率は2.28%と、前年同期の2.11%に比べ、目立った加速感はない。中小企業や非正規雇用なども含んだ勤労者の給与を網羅する毎月勤労統計では、今年1~3月の所定内給与は前年同期比0.1%の伸びにとどまるなど、勤労者の収入の持ち直しはなお勢いを欠く。
SMBC日興証券のまとめでは、今期(2016年3月期)の最終利益予想も合計で22兆円を突破し、2年連続で過去最高を更新する見通し。ただし、企業の思惑通り進むかは、「消費が回復し、企業業績も上向く好循環が生まれるかがカギを握る」(エコノミスト)のは間違いなさそうだ。