沖縄県の夏の正装「かりゆしウェア」でも、与野党が対立する一幕があった。閣議では6月1日の「かりゆしウェアの日」にちなんで閣僚全員が閣議でかりゆしを着るのが恒例になっている。上着着用がルールになっている参院本会議についても、自民党が、かりゆしの着用を認めるように提案したが、民主党が反対して実現しなかった。
その反対理由は「沖縄だけ特別扱いはできない」というもの。ただ、民主党政権下でも菅政権以外は「かりゆし閣議」が継続されており、民主党の議論は「ブーメラン」にもなりかねない。
菅官房長官「そんなに目くじらを立てるようなことじゃなくて...」
自民党は15年4月に開かれた参院議員運営委員秋理事会で、「かりゆしウェアの日」直後の本会議では上着なしでかりゆしを着られるようにすることを提案。民主党から上着着用を定めたルールを変更するかどうか確認を求められ、自民党はかりゆしだけを例外扱いにする考えを伝えていた。この時点では「クールビズ期間中でも本会議場では上着着用」のルールを改めて確認したものの、かりゆしの扱いは継続審議になっていた。
「かりゆし問題」は5月26日の会議で改めて取り上げられたものの、民主党が「沖縄だけ特別扱いはできない」と反対。結局、自民の提案は「お流れ」になった。
閣僚がクールビズ初日にかりゆしを着て閣議に臨む「かりゆし閣議」が始まったのは第1次安倍内閣の07年。当時も総務相として入閣していた菅義偉官房長官は、5月26日午後の会見でこの問題について質問され、饒舌だった。最初は
「国会で決めることなので政府としてはコメントを控えたい」
と答弁したが、すぐに持論を展開した。かりゆしの製造枚数が13年は40万枚、14年は49万枚と増加傾向なことを理由に、
「販売枚が増えることは沖縄振興策に資すると思っているので、政府としては6月2日の閣議で、かりゆしを起用して、全国の皆さんに宣伝に努めていきたい」
「沖縄を応援したいという第1次安倍内閣の(方針の)現れなので、そこはこう、そんなに目くじらを立てるようなことじゃなくて、沖縄の振興策のためには、応援していくということは、きわめて大事だと思っている」
などと間接的に民主党の対応を批判していた。
菅直人元首相は「かりゆし閣議」踏襲せず
実は「かりゆし閣議」、民主党が政権を担当していた鳩山政権と野田政権でも引き継がれている。例外が東日本大震災と原発事故に対応に追われていた菅政権で、当時の沖縄タイムスのコラムは、
「菅直人首相はスーツにワイシャツ、ノーネクタイ姿で現れた。クールビズ開始から最初の閣議は『かりゆしウエア』が恒例となっていたのに、がっかり」
「がけっぷちに立たされ服装どころではなかったのかもしれない。ただ、定番のスーツスタイルからネクタイを外しただけのファッションは、かえってあか抜けない」
と失望を隠さなかった。