マクドナルド「ベジタブルチキンバーガー」、吉野家「ベジ丼」、日清「カップヌードルベジータ」。大手外食や食品メーカーが2015年5月、タイミングを合わせたかのように野菜を使った新メニューを発売した。
各社、同じ時期になったことは「たまたま」というが、さながら「野菜メニュー・初夏の陣」の様相を呈してきた。特に女性客の取り込みがポイントになりそうだ。
シリーズとしてまとめて出すのは初めて
マクドナルドは新商品で女性や家族連れにアピールする。5月25日に発売したのは「ベジタブルチキンバーガー」「ベジタブルチキンマフィン」のレギュラーメニューに加え、子ども向けの「モグモグマック」、サイドメニューの「サイドサラダ」の全4品。これまでも野菜を強調したメニューはあったが、「シリーズとして1度にこれだけまとめて出すのは初めて」(同社広報)だ。
中国の仕入れ先が消費期限切れの鶏肉を使っていたことや異物混入問題で売り上げが低迷し、主婦層を中心とした女性の客足が遠のいている。発表会見でサラ・カサノバ社長が「母親や女性からのリクエストに応えたもの」と話すなど、女性客へのイメージ回復を図る狙いは明確だ。発売直後の段階ではあるが、サイドメニューのポテトをサラダに代えて注文する女性客もいるという。
吉野家は11種類の温野菜を盛り付け、牛肉が入っていない「ベジ丼」など、野菜を使った新メニュー3品を5月21日から販売開始。ベジ丼1つで1日に必要な量の半分の野菜が取れるという。
牛丼チェーンで肉が入っていないメニューとは意外だが、「奇抜さは狙っていない。健康志向のニーズに合わせた」と同社広報は語る。30~40代男性の既存客層がメーンターゲットだとしながらも、店舗で話を聞くと女性客の注文が目立ち、材料がなくなりそうな日もあるという。出足は好調だ。
吉野家は牛肉仕入れ価格の高騰などにより、14年12月に牛丼を300円から380円に値上げに踏み切り、その後4か月連続で売り上げが落ちている。新メニューの投入で巻き返しを図る。
1年前から開発してきた
大手食品メーカーでは日清が「カップヌードルベジータ キャベツ&ベーコン」を5月25日に発売。同社によると、20~30代が野菜不足だというデータや「調理の手間をかけずに野菜をたっぷり食べたい」というヒアリング結果をもとに開発した。「1日に必要な量の3分の1の野菜が手軽においしく食べられる!」をうたい文句にしている。
テレビCMに人気漫画「ドラゴンボール」のキャラクターを起用するなど、若い男性を中心とする客層が中心となりそうだが、「女性を含めターゲットは幅広い」(同社広報)。
なお各社、新メニューは1年前から開発してきたとし、5月下旬に発売時期が重なったことは「たまたま」だと説明する。いずれにせよ消費増税の影響やコスト高に悩む中、女性客の取り込みがポイントになりそうだ。