バター不足が深刻化している。生乳(搾ったままの牛乳)の生産者などでつくる業界団体「Jミルク」によると、2015年度のバターの生産量は6万4800トンで、需要量を7100トン不足する見通し。
農林水産省は近く、不足分を補うための追加の緊急輸入を決定する方針で、バターの緊急輸入は2014年度に続き2度目になる。
国産バター、生産量が需要に追いつかず
Jミルクが2015年5月25日に発表した「2015年度の生乳および牛乳乳製品の需給見通し」によると、15年度の国内バター生産量は14年度と比べて、5.2%増の6万4800トンと増加を予想。一方、需要量も0.9%増の7万4700トンを見込んでいる。
バターを含む生乳製品の輸入は、国際的に1年ごとに輸入総量が決められている。農林水産省によると、「じつはバターの輸入は1年にたびたび行われています。ただ、輸入総量の範囲内で行っているもので、今回のような追加輸入は14年度に続き2度目になります」と説明する。
農水省は、2014年度は5月に7000トンの追加の緊急輸入を決定。バターの不足を、13年度の生産量の約2割に相当する、年間1万3000トンの輸入でまかなった。2015年度も、2800トンの輸入(総量)をすでに決めているが、Jミルクの試算では、その分を加えても需要量が生産量を7100トン上回るとみている。
14年度と同様、ケーキの需要が集中するクリスマス・シーズンを中心に不足が見込まれるという。
これを受けて、林芳正農相は5月26日の閣議後の記者会見で、2014年度に続き15年度もバター不足が懸念されるとして、「安定供給に支障が生じないよう、十分な量の追加輸入をする方向で、最終的な調整を行う」と表明。近く、バターの緊急輸入の具体的な量や輸入の時期などを決める考えを示した。
国が輸入するバターは、主に品質保持の期限が長い業務用バターになる。農水省は「輸入バターを業務用に回すことで、国産の生乳を家庭用バターに振り向けやすくして、バターの安定的な供給につなげていきます」と話している。