照ノ富士優勝で「第3次モンゴル黄金時代」到来 日本人力士が賜杯抱くのはいつの日か

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   大相撲夏場所(2015年5月)で優勝した照ノ富士が大関として来場所に臨む。これはモンゴル黄金時代が依然として続くことを意味する。

   日本人力士はさらに厳しい状況に追い込まれた。

  • 大相撲はこれからもモンゴル勢の時代が続きそう
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初土俵から25場所目で初優勝

   最終盤はファンを大いに沸かせた。14日目(23日)に横綱白鵬が大関稀勢の里に敗れて3敗目を喫し、関脇照ノ富士と並んだ。4敗力士6人を含め、8人が優勝圏内という盛り上がりとなって千秋楽を迎えた。

   その千秋楽で照ノ富士は完勝。白鵬が同じ横綱の日馬富士に敗れ、逆転優勝を手にした。白鵬が連敗する予想外の幕切れでもあった。

   この瞬間、照ノ富士の一度は消えた大関昇進が浮上した。11日目に白鵬に負けたときは、協会幹部から「来場所以降だな」との声が出た。それが最後の2日間でひっくり返った。

「うれしい。まさか優勝できるなんて・・・」

   照ノ富士は支度部屋のテレビで白鵬敗戦を見ると、付け人の胸に顔を埋めて泣いた。

   碧山との最後の一番は普通の精神状態ではなかったという。「ものすごく緊張した」と振り返った。見た目はものに動じない若者だったが、それを悟られないようにしていたそうである。

   照ノ富士初優勝は貴花田、朝青龍の24場所に次ぐ初土俵から25場所目。大関昇進までの場所数は入幕から史上3位の8場所(大鵬6場所、豊山7場所)。さらに関脇2場所での大関は1951年の吉葉山以来という飛び級だ。

3横綱1大関がモンゴル勢

   この照ノ富士の大関昇進はモンゴル力士の実力者がまたもや誕生したわけで、モンゴル黄金時代の持続を意味する。

   予想される7月名古屋場所の番付上位は、横綱3人(白鵬、日馬富士、鶴竜)に大関照ノ富士、関脇に逸ノ城と5人を数える。この大関と関脇はともに「将来の横綱候補」と期待される。

   他の大関、稀勢の里は11勝4敗で、白鵬に勝った一番は光るものの、日本人力士の横綱候補の期待を毎場所裏切っている。琴奨菊は6勝9敗で来場所はカド番だし、豪栄道は勝ち越すのがやっとで、千秋楽は骨折で休場、来場所に不安が残る有様。ホープ遠藤(6勝9敗)も故障との闘いがある。

   大関陣のふがいなさも、昇進の理由となったといえる。場所前は、大関昇進の成績として「14勝」「白鵬に勝つ」などの条件がささやかれていた。12勝での昇進は優勝が力で厳しい条件をつぶしたことになる。

   振り返ってみると、平成の大相撲はモンゴル力士が軸になっている。朝青龍時代を第一期黄金時代とすれば、白鵬時代が第二期。照ノ富士の大関は第三次黄金時代の到来を感じさせる。日本人力士の奮起はいつになるのか。

(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)

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