習近平氏一転、対日「スマイル」外交 訪中団に40分演説、人民日報1面使って歓迎ムード演出

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   自民党の二階俊博総務会長率いる3000人の訪中団に対し、中国の習近平国家主席が行った演説は笑顔に満ち、約40分にわたる和やかなものだった。

   習氏が国家主席になって以降、北京の人民大会堂で日本人に対する演説を行ったのは初めて。翌日の人民日報の1面で取り上げるなどし、中国側は予想以上の歓迎ムードを演出した。

  • 演説は人民日報の1面で取り上げられた
    演説は人民日報の1面で取り上げられた
  • 演説は人民日報の1面で取り上げられた

歓迎ぶりは訪中団スケジュールにも

   習氏は2015年5月23日夜、北京人民大会堂に集まった約3000人の訪中団に演説。日中の歴史は2000年以上におよぶとし、唐の時代に中国を訪れた阿倍仲麻呂と詩人の李白らの友情を挙げるなどして民間交流の重要性を訴えた。

   満面の笑顔をたたえて登壇した演説は約40分にわたった。今年が中国にとって日中戦争勝利から70周年であることに触れ、「歴史の歪曲を許されない」と釘をさしつつも、全体としては日中友好に向けて前向きな発言が目立った。

   演説は翌24日の人民日報で1面に取り上げられ、笑顔で語る習氏の写真が大きく掲載された。日中関係が冷え込んで以降、同紙が両国友好ムードを1面で記事にするのは異例で、ほかの主要紙もトップ記事級の扱いだった。国営放送の中国中央電視台(CCTV)では、二階氏の演説も紹介するなど、長い時間を割いて報じた。

   中国側の歓迎ぶりは訪中団のスケジュールにも表れている。一行は20日の到着以降、広東省広州で次期主席候補の1人とされる胡春華氏と会談、習氏の母校、精華大で二階氏に演説をさせるなどした。

笑顔見せる余裕のワケ

   これまで日本に厳しい姿勢を取ってきた習氏が、笑顔を見せる余裕を見せた背景には、党内の掌握と国民の支持固めを進めたことがあるとみられる。

   4月には軍の元トップ郭伯雄氏を汚職事件に関与した疑いで取り調べするなど、国民からの人気が高く、政敵の排除を進める反腐敗運動が着々と成果を上げているからだ。

   今回の演説では民間交流の重要性を強調し、歴史や政治問題を切り離すなど一定の配慮を見せたが、停滞する中国経済のテコ入れのためにも日中友好ムードの演出は加速する見通しだ。

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