役員人事にも反映
2014年度の国内の自動車市場全体を振り返ると、消費増税の影響もあって前年度比6.9%減の529万7110台と4年ぶりの前年割れだった。しかし、スズキ、ダイハツの販売競争による底上げもあって軽に限れば減少幅は3.9%にとどまり、台数は217万3130台。全体に占める軽の割合は41%と年度として初めて4割を超えた。
ただ、2015年度は増税の逆風が吹く。所有することで年7200円しかかからない軽自動車税が、2015年4月以降の新規取得については1.5倍の1万800円になった。富裕層の少ない軽ユーザーには痛手で、買い換えの先送りなども予想される。
それでも、スズキは「シェアを取りに行く」姿勢を変えない。それは人事にもあらわれた。決算と同時に発表された役員人事に、国内営業担当の田村実副社長の退任が盛り込まれた。田村氏こそ、2007年以降、スズキがシェアにこだわらない時代に国内営業の責任者として、利益重視の販売の指揮を執っていた人物。その退任は「攻め」を改めて宣言したことを意味すると業界で受け止められている。
鈴木会長は決算会見で「商売である以上、売り上げを増やし、利益も増やす。二兎を追わないといけない」とも述べた。
2015年度の軽自動車販売の見込みについて日本自動車工業会は前年度比12.4%減の190万台としている。軽以外の「登録車」は0.4%減の309万台と見込んでおり、軽市場は厳しい見通しだ。特典や値引きなど顧客へのインセンティブで売る側にとって消耗戦となる気配もある今後の軽市場。2強のシェア争いの結果が注目されそうだ。