ドローン飛行問題で逮捕された横浜市内の無職少年(15)は、高額な通信機器などをなぜ持っていたかが話題になった。バックには、「囲い」と呼ばれる資金援助者がいたことが分かり、ネット上で論議になっている。
ドローン少年の逮捕容疑は、祭りの主催者らに警戒させるなどした威力業務妨害だが、警察からの度重なる警告を無視してきたことが大きいとされている。
少年は、高額の支援者を「超越者」と呼び優遇
トラブルを起こしながらも動画配信を続ける少年に対し、家族は、傍観していたわけではなく、止めようとしていたようだ。少年は、母親と衝突する様子を自ら配信し、姉からはパソコンを壊されたとも告白していた。こうした事情などから、親からお小遣いももらっていなかったという。
ところが、今回の逮捕で所持品が公開され、少年は、動画配信以外に仕事がないのにかなりのお金を持っていたことが明らかになった。15万円はするというドローンのほか、パソコン2台、タブレット3台、それに複数の携帯電話などがあったのだ。長野や京都などへの旅行代金もかけていた。
その資金源だったとされるのが、ホームページ上で呼びかけた支援金振り込みや文房具セットなどの公式グッズの販売だ。少年は、高額の支援をした人を「超越者」と呼び、限定の動画を見せるなどして優遇していた。また、閲覧が増えるほど多くのポイントが稼げる動画サイトのシステムを利用して、ポイントを商品購入などに充てていたらしい。
フジテレビ系ニュース「FNN」によると、少年を支援していた東京都内の男性が取材に応じ、「家族にパソコンを壊されことをかわいそうに思い、25万円を振り込んだ」と明かした。この男性は、少年が過激で何をするかわからないところに引きつけられたと、支援の動議を話していた。
しかし、この男性はツイッター上で、未成年相手に資金援助した責任を問われ、「後悔してます...」と告白した。少年を「裏切られた」と批判し、「全てを終わらせる」として2015年5月22日に警視庁に出頭して少年の説明をすることを明らかにした。
大澤孝征弁護士「共犯もありうる」
FNNなどによると、男性はこの日、ツイッターで明かしたように、実際に警視庁の浅草署に出頭していた。
少年の話などから、「囲い」と呼ばれる支援者は、男性のほかに複数いることが分かっている。
こうした支援者について、ネット上では、「警察に立ち向かっていく反権力の姿勢を評価してるんでしょう」などと理解する向きも一部であるが、疑問や批判の方が多い。
「大人の享楽のために分別の付かない子供にお金を与えてる」「お調子者は容易にエスカレートするだろうなぁこれは」「本人以上に囲いが一番の根源じゃない」「今後こういう事件は増えるだろうな...」
少年が支援を受けて過激な活動をしていたことについて、識者の間でも、論議になっている。
脳科学者の茂木健一郎さんは、ツイッターで少年の活動を擁護し、「ドローンを飛ばしてその映像を配信して金を得ていたって、直ちに違法じゃないし、新しいビジネスにつながるし、15歳少年に関する印象操作、ひどい」と発言した。さらに、「日本のマスコミはアンシャンレジーム側だなと再認識。別にいいけど、イノベーションの精神、ゼロだよね」と報道に疑問を呈している。
一方、著名なブロガーの山本一郎さんは、ヤフー・ニュースへの寄稿で少年の活動に疑問を示し、「自己顕示欲や承認欲求を満たすためにネット動画をやっている若者を大人が煽って犯罪に向かうよう示唆するような話になっていますね」と指摘した。そのうえで、「煽ったり資金提供した『大人』にも責任追及される可能性はあります」と述べている。
ドローンに関わった支援者が責任を問われるかについて、元東京地検検事の大澤孝征弁護士は、テレ朝系「モーニングバード!」への出演で、「内容次第だが、共犯もありうる」と指摘していた。