東京都多摩市は、診断書を何度も偽造して病気休暇などを取得し、計820日不正に休んだとして男性職員を懲戒免職処分にしたと発表した。
職員はおよそ3年9か月の間、ほとんど出勤していなかった可能性が強い。職場の上司や同僚は誰も注意したり問題視したりしていなかったのだろうか。
病名や症状を知られたくなかった?
市によると処分されたのは健康福祉部主任の男性職員(50)。2012年6月から15年3月までの期間、偽造した診断書39通を不正に使用し、計820日の病気休暇および病気休職処分を受けていた。
職員はかつて取得した診断書の日付を書き換えたり、パソコンで作成したりするなどして診断書を偽造。1週間から2か月ほどの休みを繰り返し取得していた。
直近に提出した診断書の病名がこれまでと変わっていたため、産業医が面談し「病名に対する休暇日数が多い」と指摘し、問題が発覚。市が過去の診断書も調査したところ、これまでの偽造も発覚した。職員は動機について、
「体調が悪く通院していたのは事実。本当の病名や症状を職場の同僚に知られたくなかった」
などと話しているという。
職員の給与は、病気休暇中に100%、病気休職中に80%が支払われていた。市は不正に支払われた給与額を精査し、損害賠償を求める方針だ。また有印私文書偽造などの疑いで刑事告発も検討しているという。
再発防止のため今後は診断書に加え、医療機関からの診療明細書を提出させるなどするという。
「周りは何も言わなかったのか」
いずれにせよ3年9か月の期間中、半分以上にあたる820日も病休が認められたことは驚きだ。ツイッターなどネットでは、
「820日もほっとかなくても、普通はもっと前に気づくだろう・・・」
「周りは何も言わなかったのか」
「上司とかが医師に聞き取りするだろうが、ずっと放置?」
と職場の同僚などから注意がなかったことを疑問視する意見が目立つ。
こうした疑問に対し、市は「直近の診断書で初めて疑義が生じた。それまで提出された診断書などでは異変に気付けなかった」と説明する。
ただ、実質上、3年9か月間にわたりほとんど勤務はしていなかったわけで、上司は本人に病状などを問い合わしたりしないのだろうか。
市によると「上司が職員の家を訪問したり、電話で様子を確認したりはしていた」というが、病気休暇の申請に際し、毎回行っていた訳ではないという。周囲も何も事情を知らなかったのだろうか。
病休中の仕事は周囲がフォローしていたという。なお個人情報に当たるため、職員の病名については公表していない。