安倍晋三首相のポツダム宣言をめぐる発言は、安倍内閣の中でも様々に受け止められているようだ。
菅義偉官房長官は「受諾したことに尽きる」の一点張りで事態を鎮静化させたい考えだが、首相補佐官の一人は、宣言の文言一字一句については「精査してみないと何とも言えないのでは」と述べ、宣言の一部に反発しているともとれる姿勢を示した。
「戦争していた相手の国が、その時からお互いに悪く言っていたわけですよね」
5月20日の党首討論で共産党の志位和夫委員長は、宣言が日本による世界征服の野心に言及していることに触れた。これに対して、安倍首相が、
「つまびらかに読んでおらず、承知していないので論評を差し控えたい」
などとコメントを避けたことが波紋を広げていた。
この発言について、礒崎陽輔首相補佐官(国家安全保障に関する重要政策及び選挙制度担当)は5月20日夜にBSフジで放送された「プライムニュース」の中で、
「全体として受諾していることは明確な事実。それをもとに我々は降伏した」
と断ったうえで、ポツダム宣言の内容の一部には問題がある可能性を指摘した。
「戦争していた相手の国が、その時からお互いに悪く言っていたわけですよね。そこで書かれた文章が、一字一句正しいことを書いているかどうかという質問は、私はどうかと、正直に思います」
その上で、
「もちろん、ポツダム宣言を否定するつもりはありません」
と念押ししながら、
「一字一句正しいかどうかというのは、総理の言うように精査してみないと何とも言えないのでは」
と繰り返した。
同じ番組に出演していた共産党の山下芳生書記局長は、
「一字一句とかの問題じゃないですよ」
と反発。共産党の機関紙「しんぶん赤旗」も、5月22日の紙面で発言を「宣言を否定するような立場を示しました」と伝えた。