低迷する中国経済は日本の投資を期待?
中国側がシグナルを送るのは、日本からの投資を期待する思惑があるためだ。
中国経済の低迷は深刻だ。中国の15年1~3月期の国内総生産(GDP)伸び率は、住宅価格の下落や内需の低迷などから前年同期比7.0%増にとどまり、リーマン・ショック後の09年1~3月期(6.6%)以来の低水準だった。
14年のGDP伸び率は7.4%で、目標の7.5%を下回る異例の事態となった。習政権は経済政策の方針に「新常態(ニューノーマル)」の方針を打ち出し、高成長だけに頼らない姿勢を見せている。しかし、今年も目標の7.0%を達成できないとなると、雇用不安など国内の不安定要因が噴出しかねない。
そこで期待されるのが、反日デモが相次いだ12年以降落ち込んでいる日本の対中投資だ。訪中団には御手洗氏や観光業界関係者など財界人が多く、経済交流について前進が見込まれる。
また、訪中団が出発する前日の5月19日には、羽田空港と北京、上海、広州を結ぶ航空便が1日あたり合計12便増えることが国土交通省から発表された。12年にいったんは合意されながら実現していなかったもので、両国の関係改善ムードを後押しすることになりそうだ。