韓国の国会がいわゆる「軍艦島」(長崎市)など世界遺産登録に反対する決議と安倍晋三首相が在米中にいわゆる従軍慰安婦について言及したかったことを糾弾する決議を2015年5月12日に相次いで採択した問題で、自民党内から対応を求める声が相次いでいる。
2つの決議のうち、安倍首相を名指しした決議は全会一致で採択されており、その直前には超党派の日韓・韓日議員連盟の合同幹事会がソウルで開かれていた。このことから、議連の存在意義について疑問を呈する声も上がっている。
「韓国の主張は事実誤認も含めて政治的動機に基づいている」
菅義偉官房長官は、決議が採択された翌日の5月13日午後の会見で、
「友好国の首相を名指しする形で、このような決議を行うことは非礼と言わざるを得ない。まったく受け入れることができない」
「韓国が主張する政治的主張というのは、こうしたこと(世界遺産の登録)に持ち込むべきではないと思う」
などと強く非難していた。それから1週間が経ち、自民党の中からも何らかの対応を求める声が強くなってきた。
原田義昭衆院議員(党国際情報検討委員長)は5月15日にフェイスブックで、
「韓国の主張は事実誤認も含めて政治的動機に基づいていると見られるが、わが国としては韓国はもとより諸外国に対しても丁寧に対応していく必要がある」
「自民党としても必要なバックアップを惜しんではならない」
と訴え、5月19日の党役員連絡会で具体的な対応を求めた。これに応える形で、二階俊博総務会長は日韓議員連盟を念頭に、
「肝心な時に黙っている」
と苦言を呈した。