スーパーには肉の詳しい産地を答える義務はない
松嶋さんの発言から始まったこの騒動だが、実際のところスーパーは肉の産地表示をどうしているのだろうか。消費者庁に話を聞いてみたところ、ひき肉は、牛や豚といった単体のものであればロース肉などのスライスと同じ生鮮品の扱いになり、合挽きは加工品となる。生鮮品の肉の産地表示は「日本」「アメリカ」など国を表示するだけでよく、産地となる県名を入れるかどうかは業者側にまかされている。仮に日本とアメリカの肉が混ざっている場合は量の多い方を先に書き、2か国の名前を表示する。県名を出す場合は最も長く肥育されていた県名を表示する。そして、
「肉がどの県産なのかお客が聞いたとしても、スーパーには答える義務はありません。でも通常ならば教えてくれるはずです」
ということだった。ただ、ひき肉はそうはいかないようだ。スーパーではスライスした肉よりも、ひき肉はグラム当たり安価に販売されている場合が殆どだ。スーパーに肉を卸売りしている業者に話を聞いたところ、ひき肉に使用する肉は、例えば1頭の牛からサーロインや肩ロースなどの部位を取り除いた後の余った肉や、店頭ではあまり見ることのないスネ、ネックなどを使用する。それが安く提供できるカラクリであり、多数の牛から「寄せ集めた」ものをミンチにするため、特別なものを除くと産地を特定することは難しい状態になっているそうだ。