ケリー国務長官、歴史問題で韓国にも歩み寄り求める 韓国メディアはいつも通り「解決には日本の努力が必要」と捻じ曲げる

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   安倍晋三首相の韓国の朴槿恵大統領との首脳会談がいまだに実現していない状況に、米国のケリー国務長官が言及した。ケリー長官は韓国を訪問中で、尹炳世(ユン・ビョンセ)外相との会談後の共同会見に「日本と大韓民国の双方が、これらの敏感な歴史問題に自制心をもって対応」することを求めた。

   首脳会談実現のためには韓国側も歩み寄る必要性を指摘した形だ。だが、どういう訳か韓国メディアでは、この発言は「問題解決のためには日本の努力が必要」と、全く逆の意味に「翻訳」されて伝えられている。

  • ケリー国務長官(写真左)は「日本と大韓民国の双方」に対して歴史問題への対応を求めた(米国務省撮影)
    ケリー国務長官(写真左)は「日本と大韓民国の双方」に対して歴史問題への対応を求めた(米国務省撮影)
  • ケリー国務長官(写真左)は「日本と大韓民国の双方」に対して歴史問題への対応を求めた(米国務省撮影)

慰安婦問題は「繰り返し、悲惨で、ひどすぎる人権侵害だと指摘してきた」

   2015年5月18日に行われた会見では、左派系のハンギョレ新聞の記者が、日本側の謝罪がないことを理由に日韓首脳会談が実現していないことや、安倍首相が慰安婦問題を「人身売買」と表現したことに韓国世論が反発していることについて質問した。

   これに対してケリー長官は、慰安婦問題については「戦時中の日本軍による性目的の女性の人身売買」という表現で言及し、「我々は繰り返し、悲惨で、ひどすぎる人権侵害だと指摘してきた」と述べた。

   半面、近隣諸国への「おわび」が盛り込まれた河野談話と村山談話は「日本が周辺諸国との関係改善を試みる上で重要な前進」で、「安倍政権の立場は河野・村山談話を支持している、という指導者たちの度重なる発言に留意している」とも発言。河野・村山談話を評価する米政府の立場を繰り返した。その上で、日韓首脳会談の問題を念頭に、こう述べた。

「日本と大韓民国の双方が、これらの敏感な歴史問題に自制心をもって対応し、(歴史の傷を)癒すことができ未来志向の関係を促進するような、相互に受け入れ可能な解決策を見いだせるように、直接対話を続けるように呼びかけたい。それが我々の政策であり目標だ」

2紙は「人身売買」の主体を「日本軍」と明言したことに注目

   ただ、このケリー氏の発言は、聯合ニュースによると、

「韓日の歴史問題について米政府が示してきた立場と大きく変わらないが、問題解決のためには日本の努力が必要であることをあらためて表明したと受け止められる」

として「努力すべきは日本側だけ」言わんばかりの文脈に「翻訳」されて伝えられている。

   朝鮮日報は、「日韓双方が~」の部分に触れてはいるものの、最も強調されていたのが、安倍首相の「人身売買」発言について「(安倍首相は)行為の主体を省略したが、ケリー国務長官は『日本軍』が主体と明言した」点だ。ケリー長官の発言を通じて、慰安所の運営などに軍が直接関与していたことを主張する狙いがあるとみられる。

   中央日報は、この点について、

「オバマ大統領は当時(編注:14年4月の訪韓時)、人権侵害を犯した加害者を日本政府または日本軍と明示しなかった」

と指摘しながら、「米国務長官が日本軍の責任を取り上げるのは初めて」(韓国外交部当局者)という声を伝えた。

   東亜日報は「従来の態度を繰り返す水準にとどまった」と冷淡だった。

   菅義偉官房長官は5月19日午前の会見で、

「我が国としては対話のドアはオープンだということなので、大局的観点から、条件なく対話をするべきだろうと思っている。常にオープン」

と述べ、首脳会談について従来の立場を繰り返した。

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