日本人の労働時間は米国より少なかった?
さらには、
「アメリカも相当酷いよ。持ち帰り残業で夜11時まで電話営業してる人、たくさんいたぞ」
「米国流の裁量労働が効率的かどうかはわからないな。遊びながらでも稼ぐヤツはいるだろ」
などといった声もみられた。
労働政策研究・研修機構がまとめた「データブック国際労働比較 2014」の、一人あたりの平均年間総実労働時間(就業者、サービス残業分を除く残業時間を含む)によると、日本は1980年には2000時間を超えていたが、88年の改正労働基準法の施行を契機に労働時間は着実に減少を続けており、2012年には1745時間まで減ってきた。
一方、欧米諸国も減少から横ばい傾向となっており、2012年はイタリアが1752時間、米国は1790時間、英国が1654時間、フランス1479時間、ドイツ1397時間などとなった。また、スウェーデンは直近では増加傾向にあって1621時間となっている。
じつはイタリアと米国は、日本の実労働時間を上回っていたのだ。
同機構は、「就労の仕方などが国によって異なり、そのためにデータの取り方が同じではないので一概にはいえませんが、日本人の労働時間が短くなっていることは間違いありません」と話す。
その背景の一つには、非正規労働者の増加がある。多くの企業で年功序列が廃止されて、能力給や成功報酬を導入したり、その一方で非正規労働者を増やしたりしてきたことが、労働時間の短縮につながり、残業時間も短くなる傾向にあるようだ。
インターネットには、
「無駄に残業が増える理由の一つに、早帰りしにくい雰囲気がある」
という声もあり、職場環境も大きな要因の一つのようでもある。