村田製作所の稼ぎっぷりが際立つ
2001年3月期以来、14年ぶりに純利益が過去最高を更新したのは村田製作所。前期比80.0%増の1677億円を記録した。スマホにも使われる積層セラミックコンデンサーや高速通信「LTE」用部品など、世界トップクラスのシェアを持つ部材を擁するため、TDK同様、スマホ市場拡大はそのまま収益の伸びにつながる。
村田製作所で驚くべきは売上高営業利益率。本業のもうけ=営業利益が売上高に占める割合で、高いほど効率よく稼げている。2015年3月期は20.6%に達した。工場を維持管理し、多くの従業員を雇用する製造業にあって、電子部品大手各社の売上高営業利益率は優秀な部類。それでも村田製作所以外で10%を超えたのは、日東電工(12.9%)、日本電産(10.8%)、ローム(10.7%)の3社に限られる。製造業でハイレベルとされるトヨタ自動車でも、2015年3月期に10.1%にとどまるだけに、村田製作所の稼ぎっぷりが際立つと言えよう。中国などのスマホメーカーの信頼を勝ち取り、「他に替えられない存在」の地位を確保していることが支えとなっている。
村田製作所のほかにも、日本電産、日東電工、アルプス電気も純利益が過去最高を更新した。日東電工はスマホの液晶パネル用光学フィルムが世界シェアトップ。それでも手綱を緩めず常に改良を加えて競争力を保ち、収益に貢献している。
新たな成長に向けて各社が取り組んでいるのが、自動車部品だ。スマホ部品の技術はいずれ韓国勢などが追いつき、価格低下が見込まれる。自動車には現状でも各社の部品が採用されているが、今後は「自動運転」化が進むことでさらに活躍の素地が広がり、利益を確保できる公算があるからだ。ただ、それはBtoB色を強めるパナソニックや東芝など、新たなライバルとの戦いの号砲でもあり、電子部品メーカーとしての真価が問われる局面でもある。