現役時代に脇役のつらさ体験した
シーズン前、中畑DeNAの評価はBクラスがほとんどだった。予想外の戦い、健闘といえる。監督就任以来、最初が最下位で、その後は連続5位。監督の手腕はまったく評価されていないのが実情だった。
首位を維持する理由の一つがクリーンアップトリオの固定。梶谷、筒香、ロペスの打順を守っている。巨人が阿部を一塁から捕手に戻すなど途中変更しているのとは対照的だ。
現在のDeNAは中畑監督を中心にまとまっている。見逃してはいけないのは中畑監督が苦労人だということである。駒大からドラフト3位で巨人入りするとき、同僚の二宮、平田(ともにドラフト外)との入団も条件にしたエピソードがある。「男気」を持っていた。入団3年目に三塁のレギュラーになったが、原に奪われ一塁へコンバートされるなど、脇役のつらさも体験した。
明るすぎるキャラクターが采配能力をかき消している面がある。中畑を監督に据えたのは高田GM。アテネ五輪で倒れた長嶋に代わって監督を務め、銅メダルを取った。その統率力を評価したのかもしれない。
今のDeNAは若い力が活躍している。新人の山崎康をクローザーに起用したのはその代表的な例だ。最後まで「中畑節」が聞かれるか。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)