東大「五月祭」、目玉は他大学生の「結婚式」 アカデミックな学園祭はどこにいった?

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   毎年5月、東京大学の本郷・弥生キャンパスで開催される学園祭「五月祭」は初夏の風物詩だ。

   東大の学園祭というからには「憲法」「平和」「民主主義」のように重く深いテーマが設定されている、そう考える人も多いだろう。しかし、最近の五月祭はまさに「なんでもあり」。2015年5月16日・17日に開かれる第88回五月祭の目玉イベントは、安田講堂前で17日に行われる模擬結婚式だ。開催前から注目を集める一方、眉をひそめる人もいる。

  • 安田講堂前で他大学生が結婚式
    安田講堂前で他大学生が結婚式
  • 安田講堂前で他大学生が結婚式

当初は東大生カップルを募集していた

   模擬結婚式を計画しているのは学生団体「CleliB!!(くるりぶ)」。東大に限らず、関東の私大、服飾系の大学や専門学校も参加するインターカレッジ(複数大学による)系団体だ。式は花嫁のウェディングドレス着用だけでなく、豪華演出も含めた本格的なものを予定しているという。

   ただ、当日結婚式を挙げるのは東大生カップルではなく、慶應義塾大の男子学生とモデルなどで活躍する女性の2人だそうだ。しかも、女性は13日、ツイッターで「プロモーションであって本当の結婚式を挙げるわけではないしどちらかというとモデルと考えていただければ」と明かしている。

   一方、団体のツイッターアカウントを確認すると、当初は東大生カップルを募集していたようだ。15年の2月から3月にかけては「東大生カップル募集です!!」「未だ現在まだ東大カップルがみつかっていません」とツイートするなど、募集に奔走している様子がうかがえる。しかし結局、東大生カップルは現れなかったのか、3月17日に式を挙げたい学外カップルの確保を報告している。それからはリハーサルや、ドレスフィッティング、会場設営の模様を逐一伝えている。

   アイデアの斬新さから5月12日にはネットニュースにも取り上げられた模擬結婚式だが、批判も少なくない。とりわけ、五月祭イベントなのに東大生が表舞台に出てこない、五月祭にふさわしくない、といった指摘が多い。

   ツイッターでは、

「『東京大学』の五月祭で『慶應義塾大学』の学生が結婚式って異常事態だろ」
「わざわざ五月祭で、しかも安田講堂前ステージでやる意味って...」

など、疑問の声が上がっている。

   さらに、1969年の「安田講堂事件」にかけて、「他大生が安田講堂を占拠するのって東大闘争以来45年ぶりなのでは」と揶揄する向きもある。

アイドルグループのライブも開催

   五月祭のテーマと言えば、かつてはお堅い言葉で綴られていた。60年代には、

「世界史の停滞と民主主義の腐朽 転機に立つ憲法理念」(1962年)
「言葉より行動によって平和を考えよう! 私達の時代と役割」(1965年)

など時代を反映させたものが多く確認できる。

   しかし、近年では

「My Favorite May Festival」(2006年)
「花咲く未来、建造中」(2014年)

など、かつてに比べて随分と抽象的で曖昧になった印象だ。

   それを反映してか、開催されるイベントも「やわらかい」ものが目につくようになった。もちろん学術企画や、研究者、起業家などの講演会も同時に予定されている。しかし、12年に人気AV女優・成瀬心美さんのトークライブが行われたり、14年に人気アニメをモチーフとしたミュージカル「テニスの王子様」の再現版が上演されたり、近年は出演者もイベントもバラエティ色豊かになってきた。

   今回もメーンステージでは模擬結婚式だけでなく、「虹のコンキスタドール」「仮面女子」といったアイドルグループのライブも行われる。

   ちなみに東京大学や第88回五月祭の公式サイトでは、五月祭についてこう記述されている。

「本学学生が平素の研究活動と文化活動の成果を学内外に公開し、それを通じて学生間の文化的交流を深め、本学と市民とが接触し交歓する全学的祭典」(東京大学)
「本郷の学部・学科に通う3・4年生が多く参加する五月祭は研究展示が盛んであり、(駒場祭に比べ)よりアカデミックな学園祭となっています」(第88回五月祭)

(2015年5月14日 追記 五月祭常任委員会は取材に対し、「ご質問いただいたイベントは、委員会が主催しているものではありません。委員会の立場で特定の企画・団体についてのコメントは行っていません」とのみ答えた。)

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