中電はさらに上向き予測
国内最大の東電をみてみよう。2015年3月期の燃料費は前期比9%減の2.6兆円。これを受け、2015年3月期の純利益は前期比3%増の4515億円に上った。もちろん、純利益の確保には、設備の修繕を先送りすることも含めたコスト削減努力に負うところがある。
とはいえ、広瀬直己社長が、外国為替市場や燃料価格の動向に左右されない安定した利益の確保には「柏崎刈羽原発(新潟県)の再稼働が欠かせない」との認識を示すことに対し、新潟県の人々がすんなりとは受け入れがたい面もあるのだろう。
中部電力は2015年3月期に、経常損益が602億円の黒字となり、前期の926億円の赤字から大幅に改善した。2014年4月以降の企業向け、家庭向け双方の電気料金の値上げが業績改善に寄与したのは事実だが、そもそも中部電の原発は民主党政権時代に強制的に止められた浜岡原発(静岡県)しかない。そうした火力発電中心の中部電が、値上げの実施とともに火力発電のコスト削減に本気で取り組めば、原発なしでやっていけることを示したものと解釈されてもおかしくない。実際、2016年3月期の業績予想(浜岡原発再稼働は織り込まず)は、経常利益が前期比2.2倍の1300億円だ。