チケット代は「絶対言えない」金額
この場外戦はスケールが大きい。
試合そのものの総収入が4億ドル(479億円)とケタ外れ。主な収入は入場料が7200万ドル(86億円)、有料放送料3億ドル(360億円)など。
MGMグランドホテル内で行われたのだが、1万6800人収容なのに発売された入場券は1000枚ほどだったからというから、とっくに関係者からさばかれていたらしい。
プレミアもいいところで、リングサイドは最高35万ドル(4200万円)まで跳ね上がったという。観客の中にはクリント・イーストウッドらのハリウッドスターがずらり。ゴルフの世界一選手ロリー・マキロイもチケットを購入したが、金額は「絶対言えない」と口外できないほどの額だったことが分かる。
パッキャオの母国での騒ぎも半端ではなかった。4月下旬に記念切手が発売され、50時間ほどで完売したという。試合直前には記念ケーキが日本円で3万円ほどで売られた。まさに国民的ヒーローなのである。
さらにとんでもない話が出てきた、カンボジアの首相が友人とのカケをし、パッキャオが負けたことに腹を立て、掛け金(60万円ほど)を支払わない、と公言する一幕もあった。
世界有数のAP、ロイター、AFPなどの通信社が各国の情報を報じるなど、試合後も世界的関心が高い。日本では想像もできないことが起きている。
パッキャオは試合から数日後に手術。復帰まで1年ぐらいかかるという。ロサンゼルスでの精密検査では「ひどい損傷」だったというから、簡単に解決しそうもない長丁場の場外戦になりそう。
(敬称略 スポーツジャーナリスト・菅谷 齊)