武田薬品の「アクトス」訴訟和解へ 経営リスク解消し「新薬開発」に注力

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新たな稼ぎ頭を育てられるか

   今回の和解に関し、市場では「想定内」との冷静な見方や、「先行きの不安要因がなくなった」など好意的な見方が多い。そもそも60億ドルの支払いを命じた評決は判決とは異なり、減額や取り消しの可能性もあった。しかし、仮に、この評決と同じ規模の賠償金判決が確定し、その動きが他の訴訟にも広がった場合、武田薬品の経営の根幹を揺るがす深刻な事態に陥るのは必至だ。市場でも「アクトスの訴訟は武田薬品株を買い進められない最大の要因だった」(市場関係者)という。和解の実現でこうした懸念が解消できるメリットは大きい。

   今後の武田薬品の最大の課題は、アクトスを超える稼ぎ頭を育てられるか否かだ。アクトスは2011年に特許が切れたが、それ以前は世界で年間約4000億円も売り上げた存在だった。しかし武田薬品には現在、アクトスや同じく特許切れになった前立腺がん治療薬「リュープリン」などの穴を十分に埋められる新薬は乏しいのが現実だ。今回の和解に関し、武田薬品関係者は「新薬開発に集中したい」と述べている。

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