エネルギー論争に一石を投じる可能性も
一連のIEAの指摘は「再生エネルギーの接続可能量の上限に達したので、これ以上の新規受け入れはできない」と接続を保留した経産省や電力会社の主張と対立するため、「この分野の海外情報が少なかった日本人にとっては、かなり衝撃的な内容だ」(日本のエネルギー関連の専門家)という。
翻訳に当たったNEDOは「(IEAは)送配電網インフラの増強や需要の能動化といった対策を施し、柔軟性の高い電力ネットワークに変革していくことで、導入率の向上が図れると説いている」という。「欧米などと違って国際連係線を持たないハンデを乗り越え、再生エネをどこまで拡大できるかチャレンジしようという日本において、たいへん有益な文献になる」と主張している。
安倍政権は今回の経産省案をベースに与党協議や国民からの意見募集を経て、5月下旬にも正式な電源構成の目標を決定する。果たしてIEA のレポートがマスコミや環境NGO、野党などを巻き込み、エネルギー論争に一石を投じる可能性もある。