経済産業省が公表した2030年の電源構成(エネルギーミックス)案を否定するとも思える国際機関のリポートが波紋を広げている。
経産省案は原発の占める割合を20~22%とする一方、再生可能エネルギーは22~24%と、欧州先進国並みに伸びないとしている。
再生エネの割合をめぐっては、環境省が「24~35%まで拡大可能だ」とする試算を公表するなど、政府内でも意見が割れたが、ここにきて注目されているのが国際エネルギー機関(IEA)のレポートで、「再生エネを電力システムの費用コストの大きな増加なしで45%までは実現できる」と提言している。
「『先進国標準』からまったくかけ離れた後ろ向きの目標だ」
経産省案は、原発比率を2010年度実績の26.4%から4~6ポイント低くする一方、再生エネは2倍以上にした。再生エネの内訳は、水力8.8~9.2%程度▽太陽光7%程度▽風力1.7%程度▽バイオマス3.7~4.6%程度▽地熱1~1.1%程度。原発については、東京電力の福島第1原発事故後、原発の運転年数を40年までとする政府の原則を当てはめると、既存の原発をすべて再稼働し、建設中の原発2基を稼働させても、2030年の原発比率は15%程度に縮小するはずだった。これを上回る今回の数値目標(20~22%)は、老朽原発の運転延長か、原発の建て替え(リプレース)や新増設を行わなくては達成できない。
環境NGOや民間研究機関の批判は、この点に集中した。
「欧米の先進諸国では原子力政策の如何にかかわらず、2030年には自然エネルギー(再生エネ)によって40%以上の電力を供給する目標が掲げられている。こうした『先進国標準』からまったくかけ離れた後ろ向きの目標だ」(自然エネルギー財団)