円安の逆風をはねかえす
快調な専門店と言えば、日本経済新聞終面の「私の履歴書」で4月、トップの赤裸々な記述が話題を呼んだ家具チェーンのニトリは外せない。2015年2月期の純利益は言わずと知れた16年連続での過去最高を更新し、前期比8%増の414億円。ベトナムや中国で生産した商品を国内で輸入販売するビジネスモデルのニトリにとって、黒田日銀の金融緩和による円安という強烈な逆風が続いたものの、それまでより客単価を上げた付加価値商品政策が功を奏した。顧客も単価アップを受け入れた。
似鳥昭雄社長は円安について「必死で考える必要に迫られる社員が成長するチャンス」とまで言う。2016年2月期もさらに増益を続ける見通しだ。
カジュアルシューズを中心とする靴販売のABCマートも、2016年2月期の純利益が前期比6%増の258億円になるとして、3年連続で過去最高を更新する見通しを示している。ABCマートの成長を支えるのは「お値打ち感」を支持する日本人の消費者だが、中国人など訪日外国人の購買力にも支えられているという。もともと「メイドインチャイナ」が多く円安が逆風だが、「信用できる日本の店舗で買いたい」との中国人独特の心理に助けられているという。
専門店の真打ちと言えば雑貨店「無印良品」を展開する良品計画だ。2015年2月期は経常利益が前期比15%増の266億円と3期連続で過去最高を更新。もともと格安商品はほとんどないが、より付加価値の高い商品に注力する戦略が消費者に支持された。独特なデザインは海外でも受けており、今後米国や中国などで出店を加速する方針。日本発の雑貨ブランドとしての飛躍が期待されている。