株式市場で、「Sell in May(5月売り)」の話題が絶えない。
東京株式市場は2015年4月に、日経平均株価が15年ぶりに2万円の大台に回復。外国人投資家をはじめ、強気な投資家が増えているように思われた。ところが、4月末に再び2万円を割り込むと、ゴールデンウイーク明けも引き続き軟調。どうもその背景に「5月売り」があるらしい。
日本株急落、欧米市場がブレーキに
「Sell in May and Go Away(5月に売って、どこか行け)」――。「5月売り」とは、米国の株式相場の格言。保有する株式を「5月に売れ」という意味から、「5月は株価が下がる」と受けとめられているようだ。
米国で5月に「売り」が増える理由は2つ。一つは、米国では毎年2月半ばから5月半ばにかけて個人の所得税の還付があり、その資金が投資や消費に回りやすいとされる。つまり、還付金を原資にした「買い」が一巡するため、5月半ば以降は「売り」が先行しやすくなるということ。
加えて、5月は決算を控えるヘッジファンドの利益確定売りが増えるといわれる。 じつは日本にも「節分天井、彼岸底」という格言がある。2月初めが株価の天井で、3月後半にかけて株価が下落するという意味だ。株価は、年末や企業決算の年度末という節目に下がる傾向にある。投資ファンドや年金などの機関投資家は利益を投資家に分配する必要があるので、損益を確定するために保有する株式を現金化する(売りに出す)からだ。
米国でも、日本と同じようなことが行われているということらしい。
とはいえ、株価の推移をみると「5月売り」が現実に起っているかのようだ。日経平均株価は2015年4月23日に2万252円12銭の年初来高値を更新したものの、連休の狭間の4月27日には2万円を割り込み、ゴールデンウイーク明けの5月7日の終値は1万9291円99銭。8日は前日比87円20銭高の1万9379円19銭で引けた。
第一生命経済研究所経済調査部の主任エコノミスト、藤代宏一氏は7日付のレポートで、「ゴールデンウイーク中の海外市場は欧米の株安・債券安で、欧州債の下落が止まらず、それが起点となり他の市場を揺らす展開でした」と指摘。「『Sell in May』が過剰に意識された可能性はある」とし、軟調な日本株は「間違いなく海外市場の影響によるものです」と話している。